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歩くんですの箱 SS置き場

躍動感を表現するにはどうすればいいんだろう……と日々考え中。

【ラブライブSS】5年前のできごと (Part07)

Part07 (Part06の続きです)
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穂乃果「あの夏はいろいろなことがあったよね。だから、順番に話すことにする」

穂乃果「まずは、私の大切な妹の雪穂が死んだこと」

穂乃果「警察は自殺ってことで片づけていたけど、本当は違う」

こころ「やっぱり、そう考えていたんですね」

穂乃果「へぇ~、すごいね。今までどういうことを調べてたのか分からないけど、私の考えを予想してるなんて」

穂乃果「そして、私はその犯人も知っている」

ここあ「待ってよ、どうして犯人が誰か分かるんだ?」

穂乃果「見たからだよ、この目で」

ここあ「……見た?それはおかしいよ」

こころ「こころ。今は穂乃果さんの話を聞きましょう」

穂乃果「何度も、何度も、包丁を突き刺して、そのたびに血が噴き出てきて……そんな風にして、雪穂は殺された。今でも毎日のように夢に見るよ……あいつ、笑ってた……っ」

こころ「何度も……。犯人は?」

穂乃果「南ことりだよ」

こころ「えっ、じゃあ、その後ことりさんが死んだのは……」

穂乃果「自殺ということにしておけば良かったのにね。そうすれば、自分が犯した罪の重さに耐えられなくて死んだ、みんなそういう風に思ってくれたのに」

ここあ「なんだそれ……どういう意味だよ?」

穂乃果「南ことりは死んでないよ。殺されたってことになってるけど、本当はきっとどこかで生きてる。死んだことにして、どこかに身を隠してるんだよ」

こころ「そんな……だって、私達は確かに見ました。葬式の時に、棺桶の中でことりさんが安らかに眠っているのを」

穂乃果「どうせ偽物だよ。南ことりの親は国立の学院の理事長をやってるほどの人なんだし、伝手を辿ればそのくらいのことは何とでもなるんじゃない?」

ここあ「どうしてことりが今でも生きてるって思うんだ?そんな証拠無いじゃん」

穂乃果「証拠?そんなもの必要ないよ。あいつは今でも、今か今かとその時を待ち続けてる。それは間違いなんだから」

こころ「身を隠している間にタイミングを見計らっているってことですか?ことりさんは、一体何を待っているのでしょう」

穂乃果「決まってるよ。もう一度殺しに来るんだ。今度こそ、確実に仕留めに来るはずだよ」

こころ「もう一度、ですか?一体、今度は誰を……」

ここあ「もういい、全部分かったよ。何もかも、全部」

こころ「……ここあ?」

ここあ「穂乃果、あんたの言ってることはめちゃくちゃだ」

穂乃果「なっ、私の話が信用できない?」

ここあ「あんた、最初にウチらのこと、強いって言ったよね。真実を真正面から受け止めようとしてるって。その通りだよ、少なくとも、ウチらは『あんたよりは』よっぽど強い」

穂乃果「……私がウソをついていると?」

ここあ「半分正解。でもちょっと違うね。あんたは真実から目を背けてるって言いたいんだ」

穂乃果「私はそんなことしない。私はただ、見たままのことを言ってるだけ。何も知らないここあちゃんには伝わらないのかも知れないけど」

ここあ「こころ、雪穂の死因は何だった?」

こころ「えっと……刃物で脇腹が一突きになって……」

ここあ「そう。雪穂は『何度も刺されて』なんかいない」

穂乃果「警察がそう言ったのかな。だけど、あの人たちは実際に雪穂が死ぬところを見たわけじゃない。死体を調べただけじゃ分からないことだってあるんだから」

ここあ「何度も繰り返し刺されたのかどうかすら区別がつかなかったと?有り得ない話だね」

穂乃果「……結局、何が言いたいの?」

ここあ「あんたが見たって言うその光景は、雪穂が殺される瞬間なんかじゃないってことだ」

穂乃果「ふざけないで。私はこの目で見たの!今でも毎日のように夢に見て……私がどれだけ辛い思いをしてきたか!」

ここあ「それでも、事実は事実だよ。あんたの事情は関係ない。あんたが見たのは――」

「――雪穂じゃなくて、ことりが殺される瞬間だよ」

こころ「ここあ!ちょっとっ」

穂乃果「……あいつが殺される瞬間?あははっ、面白い冗談だね。私がそんなものを見たっていうなら、私は今日まで一体何に怯えてきたんだろうって話だよ」

ここあ「あんたが何に怯えてきたか?わざわざ口にしなきゃ分からないっていうなら教えてあげるよ」

こころ「ダメよ、ここあ!」

ここあ「どうして?真実を明らかにするのがそんなにいけないってのか?」

こころ「だって、今それを言ってしまったら……」

ここあ「言ってしまったら、どうだっていうんだ?ずっと目を背けてきた真実を明らかにされた人がどうなるかなんて、そんなこと知ったことじゃない。結果がどうであれ、いつまでも真実から逃げ続けてきたことのツケは、きちんと払うべきだ」

こころ「そんな……待って」

ここあ「高坂穂乃果」

穂乃果「今度はなに?どんな面白い冗談を言ってくれるの?」

ここあ「あんたが怯えてきたもの、それは、あんた自身の罪だ」

穂乃果「……はい?」

ここあ「ことりが殺される二日前、あんたは凛を会ったらしいな。凛から話を聞いたよ。その中で、凛はあんたとことりの関係性を疑っていた」

ここあ「ようやく繋がったよ。あんたが殺したんだな、ことりを」

穂乃果「私が、南ことりを?……あははっ、最高だよ!面白すぎて涙が出そうっ」

ここあ「あんたは、何らかの理由でことりを殺した。おそらくは、ことりが雪穂を殺した犯人だと思ったからだ。わざわざ脇腹を刃物で突いているあたり、雪穂と同じ苦しみを味あわせようとしたってところだろうね」

ここあ「ところが、殺した後、あんたは自分がとんでもないことをやってしまったことに気付いた。いくら雪穂の敵とはいえ、人ひとり殺したんだ。まともな人間なら良心の呵責に耐えきれるわけない。あんたは、人を殺すにはまとも過ぎたんだよ」

ここあ「このままだとあんたは壊れてしまいそうだった。だから、あんたは自分を守るために、ことりの死を無かったことにしたんだ」

穂乃果「何を……冗談じゃない!」

ここあ「そして代わりに、自分に都合のいいストーリーを作り上げた。自分がことりを殺した時の記憶を、雪穂が殺された時のものだということにして、自分の罪から逃れようとしたんだ」

穂乃果(私が、殺した?南ことりを?)

穂乃果(そんなわけない。ただの妄言に惑わされちゃダメだ!ちゃんと思い出してみなきゃ、あの時のことを)

 ~~~

穂乃果「ことりちゃん、よくも……」

ことり「……穂乃果、ちゃん?」

グサッ

ことり「やっ……やめてよっ……痛っ」

グサッ

穂乃果「よくも、雪穂を……」

ことり「えっと……」

ことり「……そっか、辛かったね」

穂乃果「……許さない……絶対に」

グサッ

ことり「えへへ……」

グサッ

穂乃果「どうして……どうして笑ってるの?どうして、平気でいられるの……っ」

ことり「だって……ううん」

グサッ

穂乃果「私は、絶対に許さない……」

ことり「最後に、ひとつだけ……」

ことり「わたし、だい、すき……だよ」

ことり「……穂乃果ちゃんのことも、雪穂ちゃんのこと……だっ……て……」

バタッ

 ~~~

穂乃果「あ……あ……」

穂乃果「そっか……毎日夢に見たこの光景は……雪穂が殺される瞬間なんかじゃなくて……」

穂乃果「その通りだ……。私が、南ことりを……」

ここあ「ようやく認めたんだな。真実を知って、あんたはどう思った?」

穂乃果「ははっ……」

穂乃果「ぁははっ……あははっ……あははははははは」

こころ「穂乃果さん!?」

穂乃果「そうか、そうだったんだ!もう既にあいつは死んだんだ。私が殺した!私は、雪穂のかたき討ちを果たしたんだ!」

こころ「穂乃果さん、落ち着いて下さい!」

穂乃果「あはははははははっ。やった……やったんだ、私は」

穂乃果「だから、もうなにも恐れることなんてない!」

ここあ「……恐れること?そもそもあんたは、一体何を恐れてたんだ」

穂乃果「えっ、あのそれは……。そう!一つはここあちゃんが言った通り、私自身の罪と、それから、私自身が殺されることだよ。決まってるじゃん!」

ここあ「……なるほどね。あんたは、まだ何かを隠してるな」

穂乃果「なに、まだ何かあるっていうの?」

ここあ「そうだね、もう一つだけ教えてあげるよ。あんたが目を背けていた事実ってのを」

穂乃果「へぇ、一体なんのこと?」

ここあ「これから明らかになる。悪いが、あんたの家まで案内してくれ」

穂乃果「私の家?見たってぜんぜん面白くなんかないよ」

ここあ「さあね、とにかく連れて行ってほしい。確かめたいものがあるんだ」

穂乃果「ダメだと言ったら?」

ここあ「あんたがどこに住んでるかなんて、あんたの高校時代の知り合いから聞いてすぐに分かったよ。案内してくれないっていうなら、こちらから勝手にお邪魔する」

穂乃果「はぁ……仕方ないね。駐車場に車が止めてあるから、乗せていってあげる」

ここあ「恩に着るよ。――さあ、答え合わせの時間だ」

Part08へ続く

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