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歩くんですの箱 SS置き場

躍動感を表現するにはどうすればいいんだろう……と日々考え中。

【SS】穂乃果×雪穂(Part01)

Part01 (プロローグの続きです)
【夕方・神田明神】

希「あら、雪穂ちゃんやん」(境内掃き掃除中)

雪穂「あ、希先輩。いつもお姉ちゃんがお世話になってます」

希「こちらこそ、μ’sのおかげで毎日とっても楽しいで」

雪穂「あの、境内のお掃除って、毎日されてるんですか?」

希「せやね。ここは神様が宿るところやから、いつもきれいにしておかんと」

雪穂「大変ですね」

希「そうでもないんよ。小さい頃からやっとったから、もう当たり前になっとるし」

希「それに、参拝してくれる人にはやっぱり気持ちよくお参りして欲しいから」

雪穂「すごいですね、希先輩は」

希「あはは、希でええで」

雪穂「そ、そうですか?では失礼して……希さん」

希「うん、そっちの方がしっくり来る」

雪穂「希さんは、この神社にくる皆さんのことを考えているんですね。本当に聖母様みたいです」

希「褒めてもなにも出んよ。それに宗教違いやし」

雪穂「お世辞なんかじゃないです。それに比べて私なんか……」

希「どうしたん?」

雪穂「あ、いえ、なんでもないですっ」

希「……ふーん」

雪穂「な、なんですか?」

希「いや、なんでもないで。ほな、一つお祈りして行き?そのためにここに来たんやろ?」

雪穂「は、はい。ではっ!」

希「若いってええなぁ」

雪穂「はい?」

希「いえ、なんでも」

雪穂「?はい、では」

 ***

雪穂(最初は、試験勉強の合間の気まぐれだったけど、その日以来、私は毎日神田明神に通うようになった)

 ***

【神田明神】

希「今日も来たん?」

雪穂「はい。ずっと家で勉強していても息が詰まるので、気分転換に」

希「そっかぁ。雪穂ちゃんも受験生やもんな」

雪穂「はい」

希「合格祈願?」

雪穂「そんなとこです」

希「春から雪穂ちゃんも音ノ木坂学院の生徒かぁ。こんだけ可愛い後輩が出来るのに、卒業してまうのが惜しいなぁ」

雪穂「あはは。実は私、音ノ木坂は受けないつもりなんです」

希「あれ?ずっと目指してたんとちゃうの?」

雪穂「他にやりたいことが出来たので……。だから、春から地方の農業高校に進学するつもりです」

希「そっか……。寂しくなるなぁ」

雪穂「大丈夫ですよ。長期休暇のときには戻ってくるつもりですから」

希「そっか。なら、ウチのとこにも顔出してな」

雪穂「もちろんです!」

希「それにしても、ずっと勉強してんのやろ?」

雪穂「まあ、それなりには……」

希「肩凝ってない?」

雪穂「あはは……」

希「ちょっとここに座り?肩揉んだげるから」

雪穂「そんなっ、悪いですよ」

希「遠慮せんと。肩凝ったままで勉強に集中できなくなったら意味ないやろ?」

雪穂「すみません。ではお言葉に甘えて……」

希「痛かったら言ってな」

雪穂「はい。ああ、気持ちいい……」

希「結構凝ってるね」

雪穂「うう……ああ、そこっ。くぅー、すごく効きます」

希「こんだけ気持ちよさそうにしてくれると、やりがいあるなぁ」

雪穂「疲れたらやめて良いですからね。ああ、ホントに気持ちいい……」

雪穂「希さん、肩揉むの上手いですね」

希「ワシワシするのも上手いで~」

雪穂「そっ、それは遠慮しときます」

希「つれないなぁ~」

雪穂「ふぅ……、癒される……」

…………
……

雪穂「うん、すごく良くなりました」

希「満足した?」

雪穂「ええ。これでまた、勉強に集中できそうです!」

希「また肩凝ったら、遠慮なくおいで?」

雪穂「はい。またお願いするかもです」

希「その代わり、お賽銭大目にお願いな?」

雪穂「なっ、この巫女、恩を売りやがった!?」

希「冗談やて。もう遅いし、お参りしたら気を付けて帰り?」

雪穂「はい。今日はありがとうございました!」

希「どういたしまして」

希(雪穂ちゃん……、笑顔を見せてくれてるけど、ホントは辛いことがあるんやろ?でもウチ、全然役に立ててない……)

 ***

雪穂(断ち切らなきゃいけない想いがあった)

雪穂(それは、私のお姉ちゃんへの気持ち)

雪穂(スクールアイドルとして活躍するお姉ちゃんは、以前よりももっとずっと輝いて見える)

雪穂(そんなお姉ちゃんを好きって気持ちは、日に日に強くなっていった)

雪穂(でも、だからこそ、私がこんなことを思っちゃいけないのだと、強く自覚するようになった)

雪穂(だって、アイドルは、みんなの憧憬の的だから)

雪穂(お姉ちゃんの笑顔は、いつも応援してくれる人全員に向けられたもので……)

雪穂(多くの人を幸せにしたいって気持ちが、あれほどにお姉ちゃんを輝かせている)

雪穂(お姉ちゃんのその『誰かを幸せにしたい』って気持ちが、いつかは特別な一人のために向けられるようになるのだとしても、それが私であってはいけない)

雪穂(どうして?なんて問う必要もない。だって、そんなの誰が見ても明らかだから)

雪穂(常識というのは、疑問をはさむ余地もなく万人に受け入れられて、社会の真理になる)

雪穂(従わなければ、社会の枠組みからはじき出される)

雪穂(ルールを破った者はレッドカードを突きつけられる、そういうものなんだ)

雪穂(だから、私は、弾かれるに値する人間だ)

雪穂(同性の、しかも血の繋がった姉妹での恋愛なんて、常識ではあり得ないことだから)

雪穂(きっと、私がこんなだと知ったら、お姉ちゃんは悲しむだろう)

雪穂(ううん。お姉ちゃんは優しいから、もしかしたらこんな私を受け入れてくれるかも知れない)

雪穂(って、そんなに都合よくはないか……)

雪穂(けれどもし、お姉ちゃんが私を受け入れたとしても、お姉ちゃんは決して幸せにはなれない)

雪穂(お姉ちゃんまで、世界からはじき出されてしまう)

雪穂(私の間違いがお姉ちゃんを不幸にするなんて……それだけは絶対に嫌だよっ)

雪穂(こんな間違った私が、正しく社会の歯車として回るために……)

雪穂(私は、この想いを捨てなくちゃいけない)

雪穂(そのはずなのに……)

 ~ ~ ~

雪穂「お姉ちゃん。じゃあ、行ってくるね」

穂乃果「やだ、行かないでよっ!雪穂」

雪穂「お姉ちゃん、なんでそんなに泣いてるの?」

穂乃果「だって、雪穂が……雪穂がぁ……」

雪穂「やだなぁ、お姉ちゃん。別に今生の別れってわけじゃないんだから、そんな大げさにしないでよ」

穂乃果「わかってるけど……」

雪穂「夏休みにはまた戻ってくるから」

穂乃果「嫌。穂乃果は雪穂とずっと一緒がいいのっ!」

雪穂「お姉ちゃん……」

穂乃果「雪穂っ」ダキッ

雪穂「お、お姉ちゃんっ!?」

穂乃果「ねえ……雪穂は、私のこと、どう思ってる?」

雪穂「え?」

穂乃果「私はね、雪穂のこと、大好きだよ。世界で一番好き」

穂乃果「でも、雪穂は私のこと置いて行っちゃう。雪穂は、私のことなんてどうでもいいって思ってる?」

雪穂「そんなことない!私だってっ……私の方がずっと、お姉ちゃんのこと大好きだもん!」

穂乃果「だったら、どこにも行かないで?お願い、雪穂……」

雪穂(そんな潤んだ目で、上目遣いで懇願されちゃったら、私……)

雪穂「うん、分かった。私はもう、どこにも行かないよ」

穂乃果「ホント?」

雪穂「うん。ずっとお姉ちゃんと一緒だよ」

穂乃果「約束だよ」

雪穂「うん」

穂乃果「大好きだよ、雪穂」

雪穂「お姉ちゃん……」ギュッ

雪穂「私も、お姉ちゃんのこと、大好き」

 ~ ~ ~

雪穂「夢、か……」

雪穂(最近、こんな夢ばっかり見る)

雪穂(こんなんじゃ、ダメなのに)

雪穂(断ち切らなきゃいけないのに)

雪穂(私は、地方の高校に行くのをお姉ちゃんに止めてもらいたいと思ってるんだ)

雪穂(この期に及んでこんなこと考えてるなんて)

雪穂(ホントに、情けないよ……)

Part02へ続く

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