【ラブライブSS】5年前のできごと (Part06)
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穂乃果「ことりちゃん、よくも……」
ことり「……穂乃果、ちゃん?」
グサッ
ことり「●□※△□×☆●☆」
グサッ
穂乃果「よくも、雪穂を……」
ことり「えっと……」
ことり「……そっか、辛かったね」
穂乃果「……許さない……絶対に」
グサッ
ことり「えへへ……」
グサッ
穂乃果「どうして……どうして笑ってるの?どうして、平気でいられるの……っ」
ことり「だって……ううん」
グサッ
穂乃果「私は、絶対に許さない……」
ことり「最後に、ひとつだけ……」
ことり「わたし、だい、すき……だよ」
ことり「……穂乃果ちゃんのことも、△□□※●」
雪穂「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」ユサユサ
穂乃果「殺してやる、殺してやる!」
雪穂「どうしたの?しっかりしてよ!」
穂乃果「はっ!?……あ、雪穂……」
雪穂「また、あの夢を見たの?」
穂乃果「そう、ここんとこ毎日だよ。やつが雪穂を殺そうとしたあの場面がフラッシュバックするの。きっと、やつが雪穂の居場所に気付いたんだ。それで、また雪穂を……」
穂乃果「殺さなきゃ、やられるまえに」
雪穂「冷静になってよ、お姉ちゃん。誰にも教えてないんだから、誰も私の居場所なんて知らないよ」
穂乃果「そんなの分からないよ。やつは、ずっと雪穂のこと狙ってるんだから。やつが本気になればこの場所だって簡単に調べ上げちゃうよ」
雪穂「お姉ちゃん……」
穂乃果「雪穂、絶対に外に出ちゃダメだからね。ベランダに出るのもダメ。洗濯物は全部乾燥機を使って。雪穂のこと、いつ誰が見てるかも分からないんだから」
雪穂「うん……気を付けるね、お姉ちゃん」
♪プルルルルル
雪穂「お姉ちゃん、電話」
穂乃果「もしや、やつが……雪穂、私が電話に出ている間、絶対に音を出さないで。じっとしてるんだよ」
雪穂「うん、分かってる」コクコク
穂乃果「じゃあ、電話に出るね」ガチャ
穂乃果「もしもし、高坂です」
***
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穂乃果『もしもし、高坂です』
こころ「お久しぶりです、穂乃果さん。矢澤こころです。分かりますか?」
穂乃果『あー、こころちゃん?久しぶりー!』
こころ「お元気そうで何よりです。これからお仕事ですか?」
穂乃果『うん、そうだよ。こころちゃんとここあちゃんは元気にしてる?』
こころ「ええ。今は秋葉原に戻ってきてるんです。二人そろって音ノ木坂に入学することになりまして」
穂乃果『そっかー。もう二人ともそんな年かー。高校合格おめでとう』
こころ「ありがとうございます。それで、実は私たち、ある事を調べているんです」
穂乃果『……何を調べてるの?』
こころ「いろいろです。いえ、もともとはお姉さまについて調べていたんです。5年前の夏、お姉さまはどうして行方不明になってしまったのかを」
穂乃果『そうなんだ。分かるといいね、にこちゃんは何でいなくなっちゃったのか』
こころ「はい。そのことで、穂乃果さんに少しお話を聞きたいと思い、お電話しました」
穂乃果『え、私?』
こころ「できれば直接お会いしてお話を伺いたいので、今度の週末、そちらに伺ってもよろしいですか?」
穂乃果『週末?良いけど、東京からだとすごく遠いよ。大丈夫?』
こころ「ええ。もう春から高校生ですし、何も心配はいりませんよ」
穂乃果『じゃあ、駅の新幹線口で待ち合わせでいいかな?駅周辺のお店でお昼でも食べよう』
こころ「いいですね。では、よろしくお願いします」
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【日曜日】
こころ「では、行ってきます」
希「気ぃ付けてな」
こころ「はい!」
ここあ「おみやげ買ってくるから、楽しみにしててよ」
希「うん、期待して待っとるよ」ニッコリ
***
「本日は、新幹線をご利用いただき、ありがとうございます」
ここあ「列車の旅って言ったら、やっぱ弁当に限るよな~」ガツガツ
こころ「ここあ、これから穂乃果さんとお昼ご飯食べるのに、何やってるのよ」
ここあ「分かってないなぁこころは。特急の中で駅弁食べるのが旅の醍醐味ってもんでしょ」モゴモゴ
こころ「旅を楽しむなら前後の予定まで考えてこそなのよ。ついでに言うと、それは駅弁じゃないわ」
ここあ「細かいことはいいんだよ。それよりほら、こころも一口食べなよ。うまいよ」
こころ「いらないわよ」
ここあ「ほら、あーん」
こころ「だからいらないって」
ここあ「えー、つれないなー」パクッ
こころ「まったく、後でごはん食べられなくなっても知らないから」フン
***
【待ち合わせ】
ここあ「うー、お腹いっぱいゼヨ……」
こころ「だから言わんこっちゃない」
ここあ「なんだよ、こうなることは最初から分かってたよ。でもさ、結果が分かっててもやらなきゃいけないことってのはあるんだよ!」
こころ「何をやさぐれているのかしら……ほら、早くいくわよ。穂乃果さんをお待たせしたら申し訳ないわ」
穂乃果「こころちゃーん、ここあちゃーん!」(手を振る)
こころ「あっ、穂乃果さん!今行きます」ダッ
ここあ「ちょっ、待ってよ。食べたばっかだから走ると脇腹痛いんだってば」
穂乃果「久しぶりだよ~こころちゃん、ここあちゃ~ん!いや~、二人ともずいぶんおっきくなったね!」
こころ「最後に会ったときは、私たちまだ小学生でしたから。穂乃果さんはお変わりないですね、相変わらずお若くてきれいです」
穂乃果「やめてってば。あんまり褒めると調子乗っちゃうよー」
こころ「いえ、あまりにお美しいのでつい……」
穂乃果「だからやめてよー。それより、駅から5分くらいのパスタのお店予約してあるから、ぼちぼち行こっか」
ここあ「うぐぅ……」
穂乃果「あれ、ここあちゃんどうしたの?」
こころ「電車の中でお弁当を食べちゃって、お腹いっぱいなんですよ。呆れますよね」
穂乃果「あはは、そうなんだ。なんだか私の高校生の頃を思い出すよ。分かってても、つい『今食べたい』って思っちゃうんだよね!」
ここあ「分かってくれる?良かったー、理解者がいてくれて」
穂乃果「でも、これからは気をつけなきゃ『めっ』だよ。今日みたいに、肝心の美味しいお料理が食べられなくなっちゃうからね」
ここあ「なっ、裏切者めー!」
***
【パスタ屋】
こころ「このお店、すごく美味しいですね。しかもすごくお洒落です」
穂乃果「こういうお店はあんまり来たことない?」
こころ「はい。だから、感激しちゃいました」
穂乃果「喜んでくれて何より。今日は私の奢りだから、遠慮せずにどんどん食べてね」
こころ「いえ、申し訳ないですよ。どのお料理もお高いですし」
穂乃果「そういうこといっちゃダーメ。わざわざこっちまで来てくれたんだから、こっちでの食事くらいは素直に奢られておけばいいの」
こころ「でも……」
穂乃果「大丈夫。このくらい、大人にとっては大したことないんだから。それに」チラッ
ここあ「うぅ、美味しいのにもうお腹いっぱい……」
穂乃果「思ってたより、少ない出費で済みそうだしね」
こころ「ですね……」
穂乃果「じゃあ、そろそろ本題に入ろっか。なにか、私に聞きたいことがあったんだよね?」
こころ「ええ。できれば直接お会いしてお話しさせていただきたかったんです」
穂乃果「どんなことを聞きたいの?」
こころ「5年前の夏のことです。雪穂さんが亡くなった夏。その後、ことりさんも亡くなって……そして、私達のお姉さまが行方不明になった、あの夏のことです」
穂乃果「にこちゃんのことは、本当に気の毒だよね。二人ともまだ小さかったのにこんなことになって、辛かったでしょ?」
ここあ「今でも納得なんかできてないよ。でも、姉ちゃんはもう何年もいなくなったままで、ウチらも大きくなった。そろそろ、心の整理をしなきゃいけない時期なんだと思う」
こころ「だからこそ、お姉さまに何があったのか、せめてそれだけでも知りたいんです」
穂乃果「強いね、二人は。真実と正面から向き合おうとしてる。なかなか出来ることじゃないよ」
ここあ「そんな大層なものじゃないよ。ただ、このまま終わらせたくないってだけだ」
穂乃果「そっか……。なら、私が知ってること、出来る限り話すよ」
Part07へ続く
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