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歩くんですの箱 SS置き場

躍動感を表現するにはどうすればいいんだろう……と日々考え中。

【ラブライブSS】のぞえり Part03

Part03 (Part02の続きです)
【<夕方>神田明神】

雪穂「……という訳で、絵里さんが亜里沙のことを好きだっていうのは、全部亜里沙の勘違いだったらしいですよ」

希「ほ、ホンマなん?」ソワソワ

雪穂「そんな勘違いするなんて、亜里沙もそっちの素養があるんじゃないですかねー」

希「う、うん、そうかも知れんね?」

雪穂「どうしたんですか?なんだか、ちょっと嬉しそうに見えますけど」

希「ホンマ?いや、なんでもないで?なんでもない」ハッ

雪穂「うーん……」

希「あ、でも、エリチが女の子同士の恋愛に興味があるのは事実なんよね?」

雪穂「えっ、あ、それはそうですけど」

希「そっかぁ。ホンマかぁ」ニヤニヤ

雪穂「うーん、うーん……」

雪穂「あ、見えました!」

希「ん、何が見えたん?」

雪穂「希さんが最近悩んでたことです。希さん、絵里さんのことが好きなんですよね?」

希「えっ!?あ……そうそう、そうなっ、友達やし」アセアセ

雪穂「ふっ、希さんって、案外分かりやすいですね」ニヤニヤ

希「ななな、なんも分かりやすいことなんかないで?今もこのポーカーフェースやし?」

雪穂「隠さなくたっていいんですよ?希さんと絵里さん、お似合いだと思います!」

希「お、お似合いってそんな……勘弁したって///」

雪穂「おおー、照れてる希さんって初めて見た気がします」ウットリ

希「コホン。そういえば、そろそろ紅葉が綺麗な季節になってきたなー」

雪穂「あからさまに話題を逸らしましたね」ジトッ

希「さっきの話は終わりにしよ?それがええ」

雪穂「……希さんは、本当にそれでいいんですか?」

希「うっ、ウチは別に……」

雪穂「私は、自分の恋を諦めようとしてて、でも……やっぱりもう一度だけ自分の気持ちに向き合ってみよう、目をそらすのは止めよう、って決心がつきました。その勇気をくれたのは希さんじゃないですか」

希「……ウチかて、雪穂ちゃんの背中を押せたのは、亜里沙ちゃんがいたからやで」

雪穂「亜里沙にはもちろん感謝してます。今、自分がこんなに幸せなのは、希さんと亜里沙のおかげなんですから」

雪穂「そして……そんな希さんには、やっぱり自分の気持ちに真正面から向き合って欲しいです。私を幸せにしてくれた人にも、やっぱり幸せになってほしい。それに……」

希「……」

雪穂「……いえ。これはやっぱり、私の我儘なのだと思います。でも私は、希さんの力になりたい」

希「……分からないんや」

雪穂「どういう……ことですか?」

希「ウチは、ずっと一人やった。両親の都合で転校が多くて、ちょっと仲良うなってもすぐにお別れになってまう。いつしか、ウチも積極的に友達を作ろうとは思わんようになった」

希「高校に入って一人暮らしを始めたことで、ようやく一つの場所に落ち着くことが出来るようになった。でも、その時になってウチは気付いた。ウチは、あまりに一人でおる時間が長すぎたんや……だから、どうすれば周りの人と仲良くなれるのか、友達が出来るのか、ウチには分からんかった」

希「やっぱり、寂しかった。ああ、ウチは高校になっても一人ぼっちなんやなって思った。……でも、考えてみれば今までだってずっとそうやって過ごしてきたんや。だから大したことない、今までと変わらないだけ……いつの間にか、そう納得しかけてる自分がおった」

希「そんな時、一人の女の子に出会った。きれいな青い目、これが第一印象やったな」

雪穂「それが、絵里さんなんですね」

希「当時のウチは、人間観察が趣味やったな……ああ、趣味って言っていいのかは分からへんけど、一人で過ごしていると、どうしても周りの人間の様子を遠巻きに見る機会が多くなるから、学校でもぼんやりとクラスメイトとか、上級生とか、いろんな人を観察したりしてた」

希「そして、ウチはつい先日に出会った青い目の子のことが気になり始めていた」

希「金髪で一際目立っていたから、もう一度見つけるのは難しくなかった。ウチは、その子のことを観察するようになった」

希「そして、そうしているうちに、その子もウチと同じなんやって気付いた。生真面目で、とっても不器用で……周囲への接し方も今よりずっと棘があったから、それで周囲との間に溝を作ってしまってしもたんやろな」

希「……そんな彼女に、ウチはだんだん惹かれていった。そして、迷ったけど、ウチはその子に声を掛けてみることにした」

希「最初は、やっぱり棘のある返答が返ってきて、ちょっと関わりにくいって思ったけど、それでも何回か話すうちに、だんだんその子と過ごす時間が増えていった」

希「ウチに初めて友達が出来たんや」

希「せやけど……ずっと一緒にいるうちに、ウチの中に少しずつ新しい感情が芽生えてくるのが分かった」

希「最初は少しの違和感やった……。でも、だんだんそれは無視できんほどに大きなものになっていった」

希「エリチといる時間は本当に幸せで……でも、かすかに胸を締め付けられるような、そんな感覚……」

希「ウチにはそれが何なのか分からんかった……ううん、今でも分かっていないんや」

希「……ウチは、勘違いしとるんやないかなって、そう思ってしまうんや」

雪穂「勘違い、ですか……?」

希「そのうち、μ’sに入って、沢山仲間が増えて、みんな良い子たちばかりで……だからみんな大切な友達になった」

希「せやけど、同時にエリチが誰か他の子と話していると、落ち着かない気分になって、胸が苦しくなってしまう……」

希「でもそれは、たった一人だったウチに初めてできた友達やから、そんな気持ちを持ってしまうんやないか」

希「……その気持ちを、恋と勘違いしているのだとしたら、そんな勘違いは、相手を裏切ることになるんやないかな」

雪穂「希さん……」

希「長々とつまらない話をしてもうてごめんな……退屈やったやろ?」

雪穂「いえ、希さんの気持ちがよく分かりました。やっぱり、希さんは絵里さんのことが大好きです」

希「そっ、そうなんかな……」

雪穂「はい。だって、そうじゃなきゃ相手のこと、そんなに真剣に考えられるわけありません。だから、自信を持ってください!」

 ***

【<夜>絵里・自宅】

亜里沙「うぅ、昨日の今日でお姉ちゃんとどう接していいか分かんないよ///」

絵里「亜里沙、どうしたの?私の部屋に用事?」

亜里沙「お、おねえひゃん!?」

絵里「特になんでもないなら、そこを通してくれないかしら?亜里沙がそこにいると、私が部屋に入れないわ」

亜里沙「ごっ、ごめんなはひゃい~~><」

 ***

【<夜>希・自宅】

希(分からない、なんてのは嘘や……)

希(本当は、自分の気持ちなんて分かり切ってる)

希(ウチはもう、どうしようもないほどエリチが好きや)

希(なのに、雪穂ちゃんについ嘘をついてもうた……)

希(雪穂ちゃんは自分の気持ちに真正面から向き合ったのに、そうなったきっかけを作ったウチが、自分の気持ちから目を逸らしている……その罪悪感で、あんな嘘までついて……)

希(本当は、ただただ怖い……)

希(ウチが気持ちを伝えたら、エリチとの関係が壊れてしまうんやないか……)

希(大切な友達を失うくらいなら、気持ちなんか伝えんでもいい……ずっとこのままの方がいい)

希(それでも、願ってしまう……やっぱり、ウチは恋人として、エリチの隣にいたい)

希(……)

希(空を見上げても、星なんてほとんど見えへん)

希(東京の空は夜でも明るくて、だから見える星なんてわずかやけど……ホントは、この空の向こうに無数の星々がある)

希(そんな星々たちと同じように、エリチの心もウチからは全然見えへん)

希(もしも、エリチの考えてることが少しでも分かったなら……)

希「はぁ……」

希(でも、この瞬間にも夜空には無数の流れ星が飛び交ってる)

希(ウチにはそれは見えないけれど、それでも……そんな流れ星たちに願い事をしたら、叶えてくれるんかな?)

希(――ウチは、願ってもええんかな……?)


Part04へ続く

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