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歩くんですの箱 SS置き場

躍動感を表現するにはどうすればいいんだろう……と日々考え中。

【ラブライブSS】のぞえり エピローグ

エピローグ (Part10の続きです)
希(そして、時は過ぎて……)

【<冬の日>夜】

絵里「寒いわね……」

希「そうやね……。でも、こうやってエリチとくっついたら、ほら」ピトッ

絵里「希カイロね。温まるわ」ホッ

希「水筒に熱い紅茶入れてあるんやけど、飲む?」

絵里「ええ、お願い」

希「はい。熱いからしっかりふーふーしてから飲むんよ?」

絵里「分かってるわよ。子どもじゃないんだから」

希「なんならウチはしてあげよっか?」クスッ

絵里「……そんなこと言ってる間に、もうぬるくなっちゃったわ」

希「寒いからね」

絵里「それにしても急に天体観測しようなんて言い出して、希、星が好きだったの?」

希「どうやろね……。ただ、ふとエリチと夜空を見たくなったんや」

希「今なら、この空の向こうも見えるかなって」ボソッ

絵里「なにか言った?」

希「ううん。なんでもない」

絵里「冬と言えばオリオン座よね。本当にとっても綺麗に見えるわ」

希「向かって左上のベテルギウスと右下のリゲルは1等星、真ん中の3つも2等星、右上のベラトリックスと左下のサイフも2等星やから、明るい星ばっかりやんね」

絵里「やっぱり詳しいんじゃない」クスッ

希「小さい頃はよく本を読んでたんよ。星の本もそれなりに読んだかな。ウチ、あんまり友達もおらんかったからw」

絵里「笑うところじゃないでしょ」

希「ええんよ。今になって笑い話になるんやったら、当時のウチにとっても本望なんやない?」

絵里「希は時々不思議な物言いをするわね……。あ、あの明るい星は何かしら?」

希「あれはシリウスやね。おおいぬ座の1等星で、地球から見える星の中では最も明るいんやで」

絵里「本当に明るく見えるわね。青白くてきれいだわ」

希「白い星は表面温度が高いんよ。シリウスは9000℃以上もあるんや」

絵里「9000℃……想像もつかないわ」

希「そして、ベテルギウスとシリウスからだいたい同じくらいの距離にあるあの明るい星がプロキオン。この3つの星を結んで冬の大三角と呼ばれとるね」

絵里「夏の大三角なら知っていたけど……デネブ、アルタイル、ベガよね」

希「アルタイル、ベガは彦星、織姫星としても知られとるね」

絵里「冬にも大三角があったのね。1つ1つの星はとても離れているのに、こんなにきれいな三角形が出来るなんて、不思議だわ」

希「スピリチュアルやね。それと、大三角のちょっと上、見え辛いんやけど……あれがふたご座やね。ウチの誕生日の星座でもある」

絵里「あれ?でも希は6月生まれよね。なんで12月の星なのに、6月生まれがふたご座なのかしら?」

希「誕生日の星座は、その日に太陽の方角にある星座になっとるからね」

絵里「へぇ、そういうことだったのね」

希「せやから、エリチのてんびん座はだいたい春ごろに見られるんよ」

絵里「じゃあその頃になったら探してみるわ。手伝ってくれるかしら?」

希「もちろん。楽しみやね」

 ***

絵里「……とっても静かね。落ち着くわ」

希「そうやね。静かに輝く星たちを見てると、町の音も忘れてしまえるもんなんやね」

絵里「うん……」

希「……」

絵里「……」

希(その後は、しばらく沈黙が続いた。だけど、どれは心地の良い沈黙、とっても落ち着く沈黙やった)

希(どうしてなんやろ……あ、そうか。エリチと星を見てるからなんやね)

希(エリチと同じ場所で、同じ空を見てるから……だから、あの夜空の向こう側にあるものも、今のウチには見える)

希(どんなに町明かりに隠されても、その先にある温もりを感じることが出来る……だから落ち着くんやね)

希(ウチの願いは、叶ったんやね……)

絵里「希……いい?」

希「うん、ええよ……」

絵里「ちゅっ……」

希「んっ……」

 ***

【<3月>部室】

希「実は、みんなに黙ってたことがあるんや」

絵里「……もう私たちは卒業してしまう。その前に、みんなには言っておこうと思ったの」

にこ「何それ。なにも聞いてないんだけど?」

凛「同じ三年生なのに、にこちゃんだけ知らないようなことにゃ?」

真姫「どういうことなの?」

希「うん、これは、ウチとエリチについての話やからね」

海未「一体どのようなことなのですか?」

ことり「うんうん」

花陽「なんだかことりちゃんだけ訳知り顔だよ?」

穂乃果「ことりちゃん、何か知ってるの!?」

ことり「まあまあ、二人の口から聞くといいよ♪」ニコニコ

希「実は、ウチとエリチは、去年の秋ごろから付き合ってたんよ」

絵里「……ずっと黙っていてごめんなさい。アイドルは恋愛禁止だから、言い出せなかったのよ」

凛「……なーんだ、そんなことかにゃー」

真姫「今更って感じね」カミノケクルクル

絵里「みんな……もしかして知ってたの?」

にこ「バレバレだったわよ」

海未「はい。バレバレでした」

花陽「うん。二人のこと見てるだけで、花陽までドキドキしたもん」

真姫「あれで隠してるつもりだったというのがむしろ驚きだわ……」

希「上手く隠せてたはずやったんやけどなぁ……」

穂乃果「……良かったね。希ちゃん、絵里ちゃん、おめでとう!!」

凛「おめでとうにゃー!!」

海未「そうですね、少し遅くなりましたけど、おめでとうございます」

希「みんな……」

絵里「ありがとう……」

ことり「おめでとう。希ちゃん、絵里ちゃん♪」

真姫「……おめでと。お幸せにね」

希「みんな……本当に、ありがとう」

絵里「こんなにみんなから祝ってもらえるなんて思ってなかった……」

希「ウチらは、ホンマに幸せ者や……」

 ***

【部活終了・解散後】

絵里「みんな、先に帰ってしまったわね」

希「きっと、ウチらに気を遣ってくれたんよ」

絵里「……私たちも、帰りましょうか」

希「その前に……、にこっち。ちょっと話いいかな?」

にこ「何よ。一緒に帰ろうっていうなら断るわよ」

希「なんで?つれないなぁ」

にこ「はぁ……二人でイチャイチャされてる横で一人にされるこっちの身にもなりなさいよ」

希「それはともかく、ちょっと聞きたいことがあるんやけど、ええかな?」

にこ「なに?」

希「ウチらが付き合ってたこと知ってて、どうして見逃してくれたん?」

にこ「そうね……こんな話は、後輩たちのいる前じゃ絶対出来ない話だけど」

にこ「アイドルに恋愛なんてNG、私はそう言い続けて来たし、そのことは今でも間違ってないと思ってるわ。……だけど、私たちはもう卒業してしまう」

希「にこっち……」

にこ「μ’sの仲間と一緒にスクールアイドルの活動をするのは本当に楽しかったわ」

にこ「もちろん恋愛なんて無縁だけど、その代わり、アイドルとして歌ったり踊ったりする幸せがあった」

にこ「……でも、私たちはいつまでもスクールアイドルではいられないのよ」

絵里「にこ……」

にこ「卒業したら、私たちはもうアイドルではなくなってしまう」

にこ「μ’sとして活動した時間は、とっても幸せな時間だけれど、その時間が終わったら、私たちは別な形で幸せを手に入れなきゃいけないの」

にこ「……いつまでも同じ場所に立ち止まってちゃいけないの」

にこ「それが分かってたから……にこは、あんた達が付き合うのを止めなかったのよ」

希「にこっち……ありがとう。そんなにウチらのことを考えていてくれたんやな……」

にこ「そうじゃないわ。あんた達にはあんた達の幸せの形があるし、それは私もそう。そう思っただけよ」

絵里「にこ……あなたとスクールアイドルをやれて、本当に良かったわ」

にこ「……その言葉、他の子たちにも言ってあげなさい」

絵里「もちろん。必ずそうするわ……。穂乃果たちに出会って、μ’sに入って、本当に楽しかったもの」

にこ「……らしくない話をしたわ。長居してるとタイムセールが終わっちゃうし、そろそろ帰るわね」

にこ「にっこにっこにーっ!あなたのハートににこにこにー、みんなのアイドル矢澤にこ♪にこはぁ、みんなに笑顔を届けるアイドルなのよっ」クルッ

にこ「じゃあねっ」タッタッタッ

希「ふふっ、にこっちはやっぱりにこっちやね」

絵里「そうね。素直じゃなくて、本当はすごくみんなのこと考えてて……ずっと変わってない」クスッ

 ***

…………
………
……

 ***

【<4月>某大学】

絵里「希ー、早くしないと次の講義遅れるわよー」

希「すぐ準備するから、少し待ってな」

絵里「ふふっ、あんまり遅いと置いていくわよー」

希「あーっ、ちょっと待ってやー!」タッタッタッ

 ……

絵里「あっ」

希「エリチ、どうしたん?」

絵里「なんでもないわ。ちょっと、桜の花びらが目に入っただけよ」

希「ホンマに満開やもんね。桜吹雪とはこのことやんなぁ」

絵里「ふふっ、希の頭にも、花びらついてるわよ」

希「ホンマに?どこどこ?」

絵里「……はい、取れた」ヒョイ

希「うん、ありがとエリチ」

絵里「って、もうこんな時間、希、急ぐわよっ」テヲツカム

希「あっ、待ってやエリチー!」タッタッタッ

希(満開の桜並木の下、エリチに手を引かれて走る)

希(こんな未来が訪れるなんて、ほんの半年前には想像もつかないことやったけど……)

希(でも確かに、ウチは今ここにおるんや)

希(だからこれからも、エリチとの大切な瞬間(とき)を重ねていこう)

希(この桜の花びらをすべて集めて、高く、高く積み上げて)

希(――あの宇宙(そら)の向こうまで)

~ Fin ~

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