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歩くんですの箱 SS置き場

躍動感を表現するにはどうすればいいんだろう……と日々考え中。

【ラブライブSS】ことり「それでも、変わる世界が好きだから」Part04

Part04(最終Part) (Part03の続きです)
そして、ことりと海未ちゃんは見事に穂乃果ちゃんハーレムの一員になりました。
結局3人一緒にいるので、なんだか今までと変わらないって感じですが、わたしたちはそれで良いんじゃないかなって思います。
だって、それなら3人の関係が変わってしまうことはないのですから。

高校を卒業して、わたしたちはみんなで一緒に暮らすことになりました。
穂乃果ちゃんは、家業を継がせたがっていた両親の反対を押し切って地方の食品メーカーに就職することになりました。

穂乃果「穂乃果ががっつり稼いで、2人を養ってあげるからね!」

なんて元気よく言っていました。

住居は、μ’sで活動していた頃の知り合いが安く手配してくれました。
中古の物件で、決して新しいものではなかったけれど、わたしたち住むには十分な広さでした。

そして、いよいよ新しい生活が始まりました。

ことり「♪やーっと晴れたねぱーっと晴れたね そーして元気になーるねー」

海未「ことりは上機嫌ですね」

ことり「そりゃそうだよ。だって今日から穂乃果ちゃんと住むんだよ♪」

海未「ふふっ、そうですね。私もなんだかすごくウキウキしています」

ことり「あ、お風呂沸いたみたい。海未ちゃん先入る?」

海未「ええ、ここに来るまでに結構疲れましたから。早く温かいお湯につかって身体を休ませたいです」

ことり「結構遠かったもんね」

海未「そうですね。あ、ことりも一緒にどうです?」

ことり「もう、海未ちゃんったら」

海未「小さい頃は、よく一緒にお風呂に入っていたじゃないですか」

ことり「ははっ、海未ちゃんも変わらないね。海未ちゃんの家に泊まりに行ったときは、いつも『一緒におふろ入って』って海未ちゃんにせがまれたなぁ」

海未「そんな事実はありません!」

ことり「そうだっけ~。ああでも、なんだかんだ言って私たちも昔から変わらないね」

海未「そうかも知れませんね。でも、だからこそこうして今でも3人一緒にいられるんだと思います」

ことり「そうだね」

海未「ええ」

 ***

ある日の朝。

ことり「♪ぶる~べりぃ とれいん~」

鼻歌交じりに朝ご飯を作っていたら、上の階から海未ちゃんの声が聞こえてきました。

海未「穂乃果、起きてください」ユサユサ

穂乃果「むにゃ~……」

海未「全く、穂乃果はいっつも寝起きが悪いんですから」

穂乃果ちゃんの寝起きが悪いのは昔から全然変わりません。
だから、海未ちゃんは毎朝穂乃果ちゃんを起こすのにとっても手を焼いています。

<穂乃果の部屋>

海未「穂乃果、起きてくれないとこうです!」

海未(全然起きないんですもの、これくらいのことはしてもいいですよね……)

海未(穂乃果の寝顔、とっても可愛いです)

海未(あの柔らかい唇にキス……うう、たまりません!)

海未(でも勝手にキスするのは……いえ、これも穂乃果のため!あくまでこれは穂乃果を起こすためです!)

海未(……顔を近づけると、なんだか良い匂いがします。ああ、穂乃果///)

海未(うう、なんて可愛いんでしょうか。こんな唇が目の前にあったら、誰だってキスしてしまいます!)

海未「んっ、穂乃果……」

海未「ちゅっ……、はむっ……」

海未「ああ、最高です///」

海未「……ちゅっ……、ああ、柔らかくて、温かい……」

海未「ちゅっ、穂乃果ぁ……」

穂乃果「んー~~~~っ」

穂乃果「ぷはぁ……、う、海未ちゃん!?」

海未「あ、起きましたか?」

穂乃果「『起きましたか?』じゃないよっ!朝からなにしてるの海未ちゃんっ///」

海未「私はただ、穂乃果を起こしてあげようと……」

穂乃果「むー~~~っ!こんな起こし方おかしいよぉ」

海未「だって、穂乃果が起きないから」

穂乃果「だからってキ、キスしなくてもいいじゃんっ///」

穂乃果「……言ってくれればいつだってしてあげるのに」ボソッ

海未「え、なにか言いました?」

穂乃果「なんでもないよっ!海未ちゃんのバカァーっ!!!」

……

ことり「それにしても、穂乃果ちゃんと海未ちゃん、起きてくるの遅いなぁ」

穂乃果「おはようことりちゃんっ」

ことり「あ、穂乃果ちゃん。もっと早く起きなきゃダメだよ」

穂乃果「ごめんなさいっ」ダキッ

ことり「ほ、穂乃果ちゃんっ!?」

穂乃果「チュッ」

ことり「!?」

穂乃果「えへへ」

ことり「ほ、穂乃果ちゃん。朝からキスなんて大胆///」

穂乃果「えっと……ほら、これは朝の挨拶だよ!だってさっき海未ちゃんも」

海未「穂・乃・果・?」

穂乃果「ひいっ」

ことり「?」

 ***

月日が経ち、3人での変わらない生活のなかにも、ささやかな変化がありました。

娘1「ことりおねえちゃ~ん、おなかすいた~」

ことり「はいはい、もうすぐご飯出来るからね。今日は娘1ちゃんの好きなハンバーグだよ」

娘1「わーい!」

娘2「ちょっと、そのマンガわたしが読んでるんだからかえしてよ!」

娘3「わたしだってこれ読みたいんだもん!」

娘2「わたしが読んでからにして!」

海未「はいはい、二人ともケンカしない」

娘2「だって娘3ちゃんが~」

娘3「娘2ちゃんがマンガかしてくれないの!」

海未「よしよし、二人とも落ち着いて」ナデナデ

娘2「えへへへ」

娘3「娘2ちゃんばっかりずるい、わたしも~」

穂乃果「ほらほら、娘3ちゃん。こっちこっち!」

娘3「わーい、ほのかおねえちゃ~ん!」

穂乃果「よしよし」ナデナデ

娘3「えへへへっ」

3人の娘達(医療技術の進歩って本当にすごいんです!)との日々は、幸せそのものです。

ただ、iPS細胞で子供を産む技術に関してはまだまだ世間の風当たりが強くて、お母さんが3人もいるって分かったら娘達が学校で変な目で見られてしまうかもしれないので、娘達にはわたしたちのことをお姉ちゃんだよって教えています。でも、この娘達が大きくなったら本当のことを教えてあげないといけません。

でも、まだそれはずっとずっと先のことです。

ことり「みんなー、ごはんできたよー」

娘1「ハンバーグ、ハンバーグ!」

娘2「わーい!」

 ***

それから、長い長い年月が過ぎました。
時には辛いことや悲しいこともあったけれど、全部ひっくるめて、とっても幸せな時間でした。

 ***

変わらない世界では、必ず起こることだけが決まっています。
だから、わたしの意識が変わらない世界に移って、変わる世界の元いた場所に戻ることがないのだとしたら――

わたしの意識が2つの世界を渡る瞬間が、変わる世界でのわたしの意識の終わりになるのでしょう。

今がまさに、わたしの意識が旅立つべき時でした。

 ***

変わらない世界は、やっぱり変わらずにあり続けました。
見渡す限りに広がる真っ青で大きなな空を雲が流れていきます。
草原は、地平線の彼方までどこまでも続いています。
でも、わたしはこの草原に終わりがあることを知っています。

わたしは、草原の果てを目指して歩き続けます。
ずっと前に、ひつじ雲を追った時と同じように。

崖の上までやってきました。
そこから見える町並みは、やっぱりとっても大きくて、息を呑むほどに美しいものでした。
ああ、わたしはあの町並みの中で生きていたんだ。
それを思い出して、わたしは心が温かくなるのを感じました。

背後から、草木の揺れる音が聞こえました。
でも、わたしはもう驚くことはありませんでした。
だって、その音の主に会うために、わたしはここまでやって来たのですから。

ことり「久しぶり、アルパカさん」

アルパカ「そっか、君にとっては久しぶりになるんだね」

ことり「うん」

アルパカ「君は、どうしてこの何もない世界に戻って来たんだい?」

ことり「わたしはね、あなたを迎えに来たの」

アルパカ「迎え?」

ことり「うん、わたしはもう、あちらの世界での人生を十分に楽しんだから」

アルパカ「そっか、君は全うしたんだな。君自身の人生を」

ことり「うん。だからね、今度は、アルパカさんが向こうの世界で一生を過ごす番」

アルパカ「そんな……君は、そんなことを考えていたのかい!?」

ことり「おかしいかな?」

アルパカ「君は、本当に優しいんだね」

ことり「そんなことないよ。前にこの世界に来たのだって、わたしが自分のことしか考えてなかったからだもん」

アルパカ「いや、君は優しいよ。こんなボクのことをずっと覚えていてくれたんだから」

ことり「忘れるわけないよ!だってわたしは、アルパカさんのおかげで向こうの世界の素晴らしさに気づけたんだもん」

アルパカ「そっか。君はボクに恩を感じてわざわざここに……」

ことり「それだけじゃない。わたしには分かる。アルパカさんは、あっちの世界のことが大好きなんでしょう?」

アルパカ「前にも言ったよ。ボクは、このなにも変化しない世界を気に入っているんだ。もちろん、変わる世界を嫌っている訳ではないけれど」

ことり「アルパカさん、わたしは、あなたのおかげで素直になった。だから、あなたにも素直になってほしいの」

アルパカ「……それは無理だ。ボクはね、この世界にいないといけないんだよ」

ことり「あなたにはこの世界で果たすべき役割がある、それはわたしにも分かるよ。だからねアルパカさん、これからはわたしにその役割を任せてほしいの。わたしからの、お願い」

アルパカ「君の、その気持ちは嬉しい。でも、君は根本から勘違いをしてる」

ことり「勘違い?」

アルパカ「うん、ボクがこの世界にいるのは、ボクがこの世界で何か役目を果たすためじゃない」

ことり「そうなの?」

アルパカ「そうだ。ボクはそんな立派な理由でここにいるわけじゃない」

ことり「……聞いてもいいかな。アルパカさんがここにいる理由」

……

長いお話でした。

アルパカ「……とっても大切な友達がいたんだ」

アルパカさんは、そう話し始めました。
アルパカさんには、二人の友達がいたそうです。
二人は、幼い頃からの大切な友達でした。

アルパカさんの話を聞きながら、わたしは、まるで自分たちの話を聞いているみたいだと思いました。

小学校から高校まで、アルパカさんは、その二人とずっと一緒でした。
アルパカさんが入った高校は、当時入学者が減少し続けていたそうです。
廃校になるかもしれない、そんな話すら出てくるほどでした。

なんだか、ますます私たちの話を聞いているみたいです。

アルパカさんは、自分の通っていた学校のことが大好きでした。
だから、どうしても廃校にしたくなくて、ついにアルパカさんは、あることを思いついたんだそうです。

思いつきに巻き込まれた幼馴染二人は、びっくりして困惑したり、最初は嫌な顔をしたりしたけれど、結局アルパカさんについてきてくれました。
最初はその活動に反対する人たちもいましたが、次第にたくさんの仲間が集まってきて、アルパカさんたちの活動を応援してくれるようになりました。
学校の人気も上がり、ついに廃校を免れることになりました。

アルパカ「あのときは、とにかく夢中で、なにもかもが本当に楽しかった」

アルパカさんは、そう振り返りました。

けれど、そのアルパカさんの友達の一人が留学することになりました。
その話を聞いたとき、アルパカさんは今までやっていた活動を止めることにしたと言います。
でもそのとき、アルパカさんはメンバーの一人に励まされました。

アルパカ「考えてみれば、ボクは本当に我儘な人間だったよ。だけど、それでいいと言ってくれたんだ」

我儘でいていいんだと。
それが、アルパカさんの取り柄なんだと。

アルパカさんは、留学しようとしていた友達を強引に引き止めて、連れ帰ってきました。
そして、また、他のメンバーたちと一緒に活動を再開したんだそうです。

アルパカ「後から考えればとんでもない話だよ。それでどれだけの人に迷惑を掛けたかと思うと恐ろしい」

ことり「でも、その友達はあの時、間違いなく救われたよ」

アルパカ「そうだといいな……」

ことり「そうだよ。だってわたしは、みんなと一緒にスクールアイドル活動するのが本当に好きだったから」

アルパカ「なら、本当に良かった」

アルパカさんは、安心したように一息ついて、また話を始めました。

アルパカ「あれはボクらが高校3年生になってからのことだった」

アルパカ「幼馴染の二人から告白されたんだ」

アルパカ「ずっと友達だったから、どうしようかと思ったよ。だけど、同時に嬉しくもあった」

アルパカ「だってボクは、二人のことが大好きだったんだ」

ことり「それで、どうなったの?」

アルパカ「結局ボクにはどちらかを選ぶなんて出来なかった」

アルパカ「だから、なかなかに最低な結論を出したんだよ」

アルパカ「二人のためにハーレムを作るという結論をね」

ことり「ふふっ、それはなかなか最低だね」

アルパカ「面目ない……」

アルパカ「このままではいけないと分かっていたんだ」

アルパカ「だけど、ボクは変わることが出来なかった。結局そのままずるずるとハーレムを続けた」

アルパカ「ボクは幸せだったさ。娘もつくって、賑やかで楽しかった。だが、他の二人にとってはどうだっただろう」

アルパカ「ボクは、二人を歪んだ枠組みの中に縛り付けてしまった」

アルパカ「ボクさえきちんとしていれば、二人はもっとまともな人生を歩んでいたんだろうな……」

ことり「そっか……。アルパカさんも悩んでたんだね……」

アルパカ「学生時代だけならまだ仕方ないかも知れない。だけど、ボクはその後も、ずっと未熟なままだった」

アルパカ「変わることが出来ずにいたんだ。そのせいで、ボクは二人の人生を壊してしまった」

ことり「アルパカさん……」

アルパカ「娘達にも、ボクたちの複雑な関係のせいでいろいろと苦労を掛けた」

アルパカ「今になってボクは思うんだ。娘たちは、押し付けられるがままの運命を呪っていたんじゃないか」

アルパカ「ボクがここにいるのはね、せめてもの罪滅ぼしのつもりなんだ」

アルパカ「もちろん、そんなことで彼らの人生が帰ってくるわけじゃない」

アルパカ「だけどボクは、あの世界にいるべきじゃない。自分を変えることもできないような者には、なにも変化しない世界がふさわしいんだ」

アルパカ「……少し、話過ぎてしまった。この話は忘れてくれていい」

アルパカ「とにかく、ボクはこの世界を離れるつもりはない。それだけ分かってくれればいいんだ」

ことり「アルパカさん、あなたは、自分の生き方を後悔してるの?」

アルパカ「後悔しないはずはないよ。ボクのやり方は間違ってた」

ことり「……そんな悲しいこと言っちゃダメだよ」

アルパカ「え?」

ことり「ことりたちは、あなたに人生を壊されたなんて思ってない」

ことり「確かに、ハーレムなんてやり方、周りから見れば歪んでいると思う」

ことり「だけど、ことりたちはそれでもすっごく幸せだった」

アルパカ「本当かい?」

ことり「もちろんだよ」

ことり「……確かに子どもたちには苦労させちゃったけど、それは私たちみんなの責任だから、一人で背負おうとしたらダメ」

ことり「それに、そんな苦労だってみんなで頑張って乗り越えたじゃない」

ことり「初めは理解してくれなかった人たちも、だんだん娘たちを受け入れてくれるようになった」

アルパカ「そうだったね。だが、ボクの娘でなければ、初めからあんな苦労はしないで済んだ」

ことり「言ったでしょ?それはあなたのせいじゃない。私たち全員の問題なの」

アルパカ「……ごめん」

ことり「……ことりはね、穂乃果ちゃんと海未ちゃんと、3人でずっと一緒にいられたらいいなって思ってたの」

ことり「アルパカさん、ううん、穂乃果ちゃん」

アルパカ「……」

ことり「穂乃果ちゃん。あなたがいてくれたから、わたしの人生はすっごく幸せだった」

ことり「だから、自分のことを間違ってたなんて言わないで、ね」

アルパカ「そっか、君たちはそんな風に思っていてくれたんだな……」

ことり「だからね穂乃果ちゃん、もういいの。もう、こんな寂しい世界にいる必要はないんだよ」

アルパカ「ありがとう。でもボクは、こんな世界でも、寂しくはないんだ」

アルパカ「ボクには、沢山の思い出があるから」

アルパカ「変わらない世界では、失くしてしまいさえしなければ思い出が色褪せたりすることは無いんだ」

アルパカ「どんなに前の出来事でも、昨日のことのように蘇ってくる。この世界には時間の遠近というものがないから」

ことり「思い出だけで生きるなんて、そんなの寂しすぎるよ……」

アルパカ「ううん。ボクは幸せだよ。だって、こんな時間の流れない世界でも、ボクは思い出を失わないで済んだんだ。それだけでも、十分すぎるくらいの奇跡だよ」

ことり「穂乃果ちゃん……」

アルパカ「……ボクに名前なんてないよ。ボクはただの畜生だ」

アルパカ「そろそろかな」

ことり「そろそろって?」

アルパカ「お別れのときが来たってことだ」

ことり「そっか、やっと元の世界に戻る気になってくれたんだね」

アルパカ「そうじゃない。君にもじきに分かるよ」

ことり「どういうこと……?」

アルパカ「君は、もうじき元いた世界での出来事をすべて忘れてしまうだろう。そのときがタイムリミットだ」

ことり「なんで?そんなわけないよ。わたしの思い出は、わたしにとってすごく大事なものだから、絶対に忘れるわけない」

アルパカ「でも、もう君は自分の名前も思い出せないだろう?」

ことり「そんなわけ……あれ?わたしは……」

アルパカ「いいんだ、それで。君は新しくこの世界の一員になる。今度こそ、君はこの世界を気に入るはずだよ」

ことり「嫌だ……、わたし、忘れたくない。大事な思い出、失いたくないよっ!」

アルパカ「大丈夫だ。思い出は失われるわけじゃない。思い出せなくなるだけだ。過去も未来もないこの世界では、過去のことを思い出すという行為自体が矛盾に満ちている。それだけのことだよ」

ことり「やめて……わたしから大事な思い出奪わないでっ……」

アルパカ「じゃあ、さよなら。ことりちゃん」

ことり「……」

ことり「……あれ?」

ことり「わたしはこんなところで、何をしてるんだろう……」

わたしは、眼下に広い街並みが見える、高い丘の上にいました。
さっきまで、どこまでも遠くまで無限に広がる草原にいたはずなのに。

ことり「帰らなきゃ」

わたしは、丘の斜面を下りて、どこまでも広い緑の大地に降り立ちました。
地面から丘の方を見上げると、その先にある高い空の上に、白い雲が浮かんでいました。

ことり「アルパカさん」

わたしは雲に向かって、そう呼びかけました。
だってその雲は、まるでアルパカそっくりに見えたから。

 ***

時間の流れない世界で、ずっと待っていた。
いずれこの世界に迷い込んでくる、一人の少女のことを。
この姿は、その少女に見つけてもらうためのものだ。
少女がこの世界を旅立つその日が来れば、少女は必ずボクを見つけるだろう。
ボクはそれを知っていた。
この世界では、過去に起きたことと、これから起こることを区別する意味は無い。
必ず起こること、それが、この世界で起こることのすべてだ。

向こうからひつじ雲が流れてくるのが見えた。
ボクは茂みの陰に移動して、その瞬間を静かに待った。

そして、ボクは願うのだった。

――この世界を旅立つ少女が、幸せでありますように。

~Fin~

このような見苦しい文を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
ことりちゃんってなんだかふわふわした性格なので、大草原のなかでふわふわと暮らしてる絵なんてどうだろうと思ってこのSSを着想しました。

次回作は、もっとしっかり百合百合した作品が書きたいな~なんて思いますが、いつになることやら……。
もし次があったら、またお会いしましょう!では。

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