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歩くんですの箱 SS置き場

躍動感を表現するにはどうすればいいんだろう……と日々考え中。

【ラブライブSS】ことり「それでも、変わる世界が好きだから」Part01

ラブライブのSSです。
ことりが主人公です。前回のきんモザSSと異なりエロはありませんので、気楽にお読みくださいw

Part01
無限に広がる草原と、地平線の彼方まで続く青空。そして、その空に浮かぶ白い雲。
それだけが、この世界にあるすべてでした。
今日もわたしは、シロツメクサの花を摘んで、それを編んで髪飾りをつくっていました。

ことり「あ、四つ葉のクローバー発見!」

シロツメクサの花を摘もうと地面を探していると、ときどき見つけるのです。
遠目では分からないし、数も少ないのでほとんど見つけることはできないけれど、それだけに見つけたときの喜びはひとしおです。

ことり「これで5つ目っと」

ほとんど見つからない四つ葉のクローバーでも、見つけるたびに集めていればだんだん数が増えてくるものです。
いつか、四つ葉のクローバーを使ってリストバンドを作ってみたいな、なんて思います。

 ***

もう、いくつの髪飾りをつくったでしょうか。
かごいっぱいに積み上がった髪飾りの山をみて、わたしはほっと一息つきました。
そんなとき、わたしはやわらかい草の地面に仰向けに寝転んで、視界いっぱいに広がる青空を眺めます。

そうやって、わたしはずっと、ゆっくりと流れゆく雲を数えて過ごしていました。

ことり「あ、あの雲は小鳥さん」

ことり「♪小鳥のおやつにしちゃうかな~」フンフン

ことり「えへへっ」

ことり「高いところを飛ぶのって、すっごく気持ちよさそう。いいなあ」

ことり「ねえ小鳥さん、高いところから見る景色はどう?」

ことり「えへへ、わたしもそっちにいきたいな」

ことり「ねえ小鳥さん、わたしも空を飛べるかな?」

もちろん、雲はなにも答えてはくれません。
ただ空にぷかぷかと浮かんで、ゆっくりと流れていくのが雲というものだからです。

それでもわたしが雲に話しかけるのは……
わたしと雲の他には、動くものなど一つもないからかも知れません。

 ***

ことり「ここを、こうやってつなげてっと……」

ことり「よし、できたっ!」

シロツメクサの小さな髪飾りを、蔓を絡ませていくつもつなげてみると、カチューシャが出来ました。
なぜそんなものをつくってみようと思ったのかは分かりません。
けれど、そのカチューシャを付けてみると、心の底からなにか温かいようなものが湧き出してくるような不思議な気持ちになりました
ことり「あ、羊さん」

そのとき見上げた空には、もふもふの羊の形をした雲が空に浮かんでいました。

ことり「羊さんは、これからどこへ行くの?」

無意味な問いかけでした。
そして、そう思った時ふと、わたしは一体どんなものに意味を感じるのだろうと疑問が沸きました。

ことり「ねえ羊さん、ついて行ってもいい?」

羊は何も答えませんでした。
けれどわたしは、ゆるやかに動く羊雲の後を追うことにしました。

どこまでいっても単調な景色の続く大地の上を、羊雲はひたすら飛び続けました。
わたしも、その雲を追って無限に続く草原の上を歩き続けました。

ことり「♪だって~ぎゅっと~”pure”な冒険~」フンフン

 ***

どれだけ歩いたでしょうか。
ずっと変わらないと思っていた目の前の景色が大きく様変わりしていました。

ことり「えっ!?」

目の前は崖になっていて、眼下には見渡す限り大きな町並みが広がっていました。
中には、とても高い建物もありました。
それは、わたしが見たことのない光景でした。

青空には、もう羊雲の姿はありませんでした。

ことり「どういう、こと……?」

無限に続くと思っていた草原にも終わりがありました。
きっと、ここが世界の果てであるに違いありません。

背後で草の揺れる音がしました。

ことり「っ!?」

息がつまるほど驚きました。
この世界で動くものは、わたしと空に浮かぶ雲以外になにもないはずでした。

恐る恐る振り向くと、白くてモフモフの可愛い動物がわたしをじっと見ていました。
わたしはその動物の名前を知っています。

ことり「アルパカさん」

アルパカ「ボクのことを知っているのかい?」

ことり「えっ?あっ、ごめんね。初対面なのに、馴れ馴れしかったかな?」

アルパカ「そんなことない。君と話せて嬉しいよ」

ことり「そ、そっか。えへへ」

アルパカ「で、君はどうしてボクの名前を知っていたの?」

ことり「えっ、知らないよ?あなたの名前」

アルパカ「でも君は、確かにボクの名前を呼んでくれた」

ことり「アルパカさんって言ったこと?あなたがアルパカだからそう呼んだだけだよ。それとも、それがあなたの名前なの?」

アルパカ「ただの畜生に名前なんてないさ」

ことり「自分の畜生だなんて言わないで。こんなに可愛いんだから」

アルパカ「ははっ、君は優しいな」

ことり「そんなんじゃないよっ。ホントにそう思っただけだよ」

アルパカ「そういうところが優しいんだ。いやそれよりも、君は僕を見て、なぜアルパカだと分かったんだい?」

ことり「アルパカなんて誰でも知ってるよ。有名だもん」

アルパカ「だとしたら、君が言う『誰』とはいったい誰のことなんだろう」

ことり「そりゃあ、誰でもだよって、あれ?」

アルパカ「気付いたみたいだね。そう、この世界には、君以外に誰もいないんだ。『この世界』には」

ことり「もしかして、この世界じゃない、別の世界があるの?」

アルパカ「そうさ。君はこの世界に存在しないものについての知識をもっている。それが何よりの証拠だよ」

ことり「あなたは、その世界から来たの?」

アルパカ「さあ、どうかな」

アルパカ「けれど君は、前はその世界にいたんだ」

ことり「うーん、そうなのかなぁ……。わたしはずっとここにいたと思うんだけど」

アルパカ「思い出せないのは当然さ。君は、この世界で動くものには何があると思うかい?」

ことり「空の上の雲と、わたし。そしてアルパカさん」

アルパカ「うん、その通りだ。でも、その世界にはまだ他にも動くものがあった」

ことり「そうなの?」

アルパカ「そう、それは『時間』だ」

ことり「じかん?」

アルパカ「そう。君はその観念が分からないかもしれない。けれど、それは君が忘れてしまっているだけだ」

ことり「そう、なの?」

アルパカ「ああ、君はあらゆることを忘れている。でも、元の時間の流れる世界に戻れば思い出すよ」

ことり「わたしは、その世界に戻るべきなの?」

アルパカ「君が望むなら」

ことり「わたしが……?でもわたしは、その世界のことなんてなにも知らない」

ことり「だから、戻りたいとか、そういうの分かんないよ……」

アルパカ「だったら、君はずっとこの世界にいたいと思うかい?」

ことり「……分かんない」

アルパカ「この世界では、変わるものなんて何もない。だから、もし君がこの世界を好きだというなら、その気持ちが変わることだって絶対にない」

アルパカ「でも、君が元いた世界は変わり続ける世界なんだ。周りも、自分自身ですら簡単に変わってしまう。辛いこともたくさんある。でも、逆に言えばとっても嬉しいことだって沢山あるんだ」

ことり「それでも、辛いのは嫌だよ」

アルパカ「誰だってそうさ」

アルパカ「でもね、君がもしこの世界を気に入っていないのだとしたら、この先君が世界を好きになることも決してないんだ」

ことり「ここが、変わらない世界だから?」

アルパカ「その通り。そして、君がその答えを出せたってことは、君は元の世界にいた頃の感覚を少しずつ取り戻してきている証拠だよ」

ことり「……難しくてよく分かんないよ」

アルパカ「今分からなきゃいけないことじゃない。ゆっくり理解していけばいいさ」

ことり「ねえ、あなたはその世界に行かないの?」

アルパカ「うん、ボクはここに残るよ。だってボクは、この世界のことを割と気に入っているんだ」

そう言って笑うアルパカさんの目が、どこか寂しげに見えたのはわたしの気のせいでしょうか。

アルパカ「だけど君は、きっとその世界に戻るべきだよ。君がこの世界に来てから、ずっと君を見守っていたボクになら分かる」

ことり「えっ!?わたしのことずっと見てたの?ぜんぜん気付かなかったよ」

アルパカ「君は、こんな世界でも、ずっと変化のあるものを探し求めていた。そうだろう?」

ことり「そうなの、かな……」

アルパカ「例えば君は、空を眺めるのが好きだった」

ことり「うん。いろんな雲が流れていくのが楽しくって……あ、そっか。わたし……」

アルパカ「沢山の髪飾りをつくって籠の中身を日に日に増やしていったり、四つ葉のクローバーを貯めたりもしていたよね」

アルパカ「それはすなわち、君はこの世界に進歩を求めたってことなんだ」

ことり「そっか……わたしは、なにも変わらないこの世界に退屈してたんだ!」

アルパカ「そこまで来たなら、もう君が選ぶべき道は一つだ」

ことり「うん。わたし、元の世界に戻るよ。そこがどんなところなのか分からないけど、とっても不安だけど……」

ことり「でもなんだか、とても素晴らしいことが待ってる、そんな気がするの」

アルパカ「心を決めたんだね。だったら、ボクから言うことはもう何もない。いざ、新しい一歩を踏み出すんだ!」

ことり「えっと、それで……どうやったら戻れるの?」

アルパカ「それはボクには分からない」

ことり「えっ」

アルパカ「えっ」

ことり「えっと……」

アルパカ「あーいや、その方法は君になら分かるはずなんだ」

ことり「分からないから聞いているのに……」

アルパカ「君の思った通りにやればいいはずだよ」

アルパカ「君の気持ちを素直に表せばいいんだ」

ことり「わたしの気持ちを、素直に……」

アルパカ「そうだ。よく心を研ぎ澄ませでごらん。そうしたら、自ずと答えは出てくるよ」

ことり「そっか……。わかった、やってみる!」

ことり「スー、ハーッ」

……

ことり「♪だって可能性感じたんだ そうだ…ススメ~」

ことり「♪後悔したくない 目の前に僕らの道がある~」

とても悲しいことがあったんだ。
苦しくて、逃げ出したくて、そんな自分がもっと嫌で……

――わたしは、世界を捨てた。

Part02へ続く

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