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歩くんですの箱 SS置き場

躍動感を表現するにはどうすればいいんだろう……と日々考え中。

【ハルヒ×きんモザSS】アリス「シノが金髪への興味を無くしちゃった」Part 08

Part08 (Part07の続きです)

国木田(日曜日の出来事はなかなか衝撃的だった)

国木田(世の中にはまだまだ僕の知らないことが沢山あるんだなぁと)

国木田(こうなると長門さんや朝比奈さんが何者なのか気になるところだけれど、キョンに聞いてみたが何も教えてくれなかった)

国木田(とはいえ、僕らのような凡人は凡人らしく日常を謳歌していれば十分なのだろう)

国木田(キョンやSOS団の面々はもしかしたらあんな不思議体験に常日頃巻き込まれているのかも知れないけど、僕なんかにとってはあんな思いをするのは人生に一度で十分だ)

【11.綾と国木田 III】

- 図書室 -

綾「うーん……あー、やっぱなんか違うわ」ブツブツ

国木田「相変わらず悩んでるね」

綾「ちょっとずつイメージは出来てきたんだけど、上手く文章に出来ないのよ」

国木田「どんな話にしようとしてるの?」

綾「それはまだ秘密」

国木田「それは残念。教えてくれたら何かアドバイス出来るかもしれないのに」

綾「だって恥ずかしいじゃない」

国木田「そうは言うけど、最終的には機関誌に載って沢山の北高生の目に触れることになるんだよ」

綾「分かってるわよ。まあその……この間一緒に映画を見に行ったでしょ?あの映画を参考にしてストーリーを考えてみようかなって思ってるんだけど」

国木田「なるほどね。しかし、あの時は途中までしか観てないけど大丈夫なの?」

綾「小説を書く分には問題ないと思うわ。ストーリーはだいたい決めたから。だけど、最後まで観られなかったのは心残りね」

国木田「良かったらまた今度一緒に観に行くかい?」

綾「え?」

国木田「……あー、ごめん。嫌だったら全然構わないよ」アタフタ

国木田(そもそもなんで僕はこんな余計なことを言ってしまったんだ?小路さんは猪熊さんと一緒に行きたいだろうに、僕が余計な口を挟むべきじゃないだろう!)

綾「いえ、全然そういうんじゃないんだけどね、ちょっと意外だっただけよ」

国木田「ご、ごめん」

綾「謝らなくていいのに。やっぱり国木田君って面白いわ」クスッ

綾「良いわよ。原稿を書くのが終わったら一緒に行きましょう?」

国木田「え?本当に良いのかい!?」

綾「なによ、国木田君から誘ったんじゃない」

国木田「いや、だって猪熊さんとかと行ったほうが楽しんじゃないかと」

綾「よ、ヨーコは関係ないじゃない!!」

国木田「おお、すごい分かりやすい反応」

綾「そっ、それより原稿の方は進んでるの?」

国木田「話を逸らしたね。うん、今のところは順調だよ」

綾「そ、そう……」

国木田「要は僕の方が余裕があるんだ。だから、やっぱり君の小説を手伝わせてくれないかな?」

綾「わ、分かったわ。ちょっと恥ずかしいけど、こんなこと国木田君以外には頼めそうもないし……」

国木田「猪熊さんには特にね」

綾「もっ、もーからかわないでよバカ!///」

 ***

国木田(それから原稿締切の日までの2週間、僕は小路さんが小説を書くのを手伝った)

国木田(細かい設定を考えたり、時折小路さんが悩んでいるシーンについてアドバイスをしたり)

国木田(といっても、もともと小路さんは物を書く才能があったみたいで、僕はほとんど見ているだけだった)

国木田(そんなわけで、小説が完成するまでの間のことで特筆すべきことはほとんどないのだが、唯一あるとすれば先週の日曜日――大宮さんが世界を作り上げようとしたちょうど一週間後――のことしかないだろう)

 ~~~回想~~~

- 西宮北口・北東口 -

綾「ごめん、待たせてしまったかしら?」

国木田「いや、今来たところだよ」

綾「なら良いんだけど」

国木田(本当は1時間近くここにいた、なんて言えないな。どうも落ち着かなくて早く家を出てきてしまったのだ)

綾「今日は友達のご両親が経営してるレストランに行くわ。長時間いても問題ないって言ってくれたし」

国木田(小路さん、私服似合ってるなぁ)

綾「国木田君?」

国木田「あ、ああ、ごめん」

綾「どうしたの?ぼうっとしてない?」

国木田「いや、大丈夫だよ。それで、これからどこに行くんだい?」

綾「やっぱり話聞いてなかったんじゃない。まあいいわ、着いてきて」

国木田「分かったよ」

綾「それにしても、国木田君がぼんやりしてるなんて珍しいわね。疲れてるの?」

国木田「いや、本当に何でもないから」

綾「なら良いんだけど……着いたわ、ここの店よ」

国木田「へー、なかなか洒落た感じのお店だ。が……」

綾「どうしたの?」

国木田「いや、この『超大盛りアイスに挑戦!』ってのがどうも気になってね」

綾「悪いこと言わないから止めておいた方が良いわよ。まして冬なんかにそんなことするのは自殺行為だわ」アオザメ

国木田「そんなに恐ろしいのか……」

綾「ええ。あの時の陽子の様子を思い出しただけで震えてくるわ」ガタガタ

♪カランカラン

穂乃花「いらっしゃいませ~って、綾ちゃん?それに、そっちの人は……」

国木田「2年の国木田です」

穂乃花「こっ、これはこれはご丁寧に。わたしは2年の松原穂乃花。よろしくね」

国木田「松原さんね。よろしく」

穂乃花「あっ、お水二人分ね。で、メニューがこれ。決まったら後で呼んで?」

 ***

国木田「松原さんとは知り合い?」

綾「友達よ。同じクラスなの」

国木田「なるほどね」

綾「なに食べようかしら……」

国木田「うーん。なにかおすすめとかあるのかな」

綾「穂乃花、なにかオススメのメニュー教えてくれるかしら?」

穂乃花「うーん、冬の新メニュー『ホタテ貝のクリームパスタ』なんてどうかな。あとは『鱈とジャガイモのバター焼き』とか」ニコニコ
国木田「じゃあその鱈のやつにしようかな」

綾「私はホタテ貝のパスタにするわね」

穂乃花「『鱈とジャガイモのバター焼き』と『ホタテ貝のクリームパスタ』が一つずつですね。以上でご注文はよろしいですか?」ニコニコ

国木田「お願い」

穂乃花「かしこまりました」ニコニコ

綾「穂乃花、なんだか今日は上機嫌ね」

穂乃花「うん。なんだかこういうのいいなぁ~って思って」ニコニコ

綾「こういうの?」

穂乃花「だって、見てると二人を仲睦まじくてほっこりするんだもん。二人はいつから付き合ってるの?」ニコニコ

国木田「ちっ、違うよこれは」

綾「誤解よ!付き合ってるだなんてそんなっ」

穂乃花「あれ、違うの?」キョトン

国木田「僕たちはそんなかっ関係じゃないから」

綾「そ、そうよ!」

穂乃花「なんだ~。わたしったら早とちりしちゃったよ~。でも、二人とも満更でもないって雰囲気だよね?わたしはお似合いだと思うなぁ」

国木田「そ、そんなお似合いだなんて」テレッ

綾「はうぅ///」ウツムキ

穂乃花「ふふっ、なんだか二人を見てると面白いなっ。っといけない、すぐにオーダー通すね」タタタッ

…………
……


穂乃花「お待たせしました~。『鱈とジャガイモのバター焼き』と『ホタテ貝のクリームパスタ』です」

国木田/綾「「いただきます」」

モグモグ
モグモグ

国木田(き、気まずい……)

綾(気まずいわ……)

穂乃花(あれ?二人ともぜんぜん喋らないし、どうしたのかなぁ?)

モグモグ
モグモグ

国木田「あ、あの」

綾「えっ!?な、なに」

国木田「いや……そっちの料理はおいしいのかなって思って」

綾「え?ええ。美味しいわ。そっちは?」

国木田「うん。美味しいよ」

国木田/綾(会話がぎこちない……)

…………
……


国木田/綾「「ごちそうさまでした」」

穂乃花「食後のデザートお持ちしました♪」

国木田「えっ、注文してないよ」

穂乃花「わたしからのサービスだよぉ。『デラックスいちごパフェ』一つしかないから二人で仲良く食べて?」

国木田「ふ、二人で?」

穂乃花「うん♪」ニコニコ

綾「あの、気持ちは嬉しいんだけど、その……」

穂乃花「遠慮しないで?ごゆっくり~」ニコニコ

国木田「あの……行っちゃったよ」

綾「あー、えっと、国木田君が食べて良いわよ」

国木田「いいよ。折角だし、小路さんが食べなよ」

綾「私は良いわよ。ホントに国木田君が食べちゃっていいから」

国木田「うーん、このままだとずっと譲り合いが続きそうだなぁ。じゃあ、小路さん先に食べなよ。残った分は僕がもらうから」

綾「そっ、それなら国木田君が先に食べて。私はちょっとだけでいいから」

国木田「そ、そう?なら遠慮なく……」パクッ

国木田「うん。美味しいね。いちごの爽やかな酸味とクリームの甘みがすごくマッチしてる」

……

国木田「どうぞ、小路さん」

綾「あ、ありがと」

綾(あれ?そういえばスプーン一つしかついてなかったわよね)

綾(国木田君は気付いてないみたいだけど……もしかしてこれってか、か、間接キス!?)

綾「///」カァァァ

国木田「あれ、小路さんどうしたの?」

綾「え……いや、なんでもないわなんでも」

綾「か、間接キスだなんて全然考えてないんだからぁぁぁぁぁっ!」パクッ

国木田「か、間接……?あっ」

国木田「……」

綾「お、美味しいわね、うん///」

綾(正直恥ずかしくて味なんてぜんぜん分からないわ……)

国木田「……」

穂乃花(なんだか初々しくて良いな♪)ニコニコ

…………
……


国木田「そっ、そろそろ原稿書くのやろうか」

綾「ええ、早くやらないと」

カキカキ

国木田「……」

国木田(僕のはほとんど終わっちゃったし暇だなぁ)

国木田(それにしても、小路さんが何か書いてる姿はとても画になる)

綾「え、なに?」

国木田「いや、何でもないよ」アセリ

綾「そう?じっと見られてた気がしたんだけど……」

国木田「ご、ごめん。いや、似合ってるなーって思っただけで……その、物を書いてる姿が」

綾「そんなこと言われるとなんだか恥ずかしいわ///」

国木田(顔を赤くしてるのも可愛らしいな、って、はっ!?僕は一体何を考えて……)

綾「国木田君」

国木田「な、なに!?」ガタッ

綾「ちょっと、どうしてそんなに驚くのよ?えっと……それで、ここのシーンなんだけど、ちょっと読んでみてくれるかしら」

国木田「分かった。ちょっと見せて」

 ~~~

 小さな町の中心にある丘の頂上で彼と待ち合わせることにしました。

 かつてこの場所には一本のプラタナスの木がそびえ立っていました。町のどこからでも見えるその大木は、まるでどこよりも高い場所から町全体を見守っているかのようでした。けれど、今目の前にあるのは無残に根元から抉られたその木の残骸だけです。

 あの瞬間をわたしはこの目で見ていました。町の一番高い場所に立つ孤高の大木に雷が落ちる瞬間を。どす黒い空を切り裂くように一本の稲妻が走るのを見たとき、わたしは『これが世界の終わりなんだ』と思いました。

「いい眺めだね」

 彼が言いました。わたしは、高鳴る鼓動を少しでも抑えようと大きく息を吸い込みました。

「この場所に僕を呼んだってことは、もう乗り越えたのかい?」

「うん。だから、改めてあなたに気持ちを伝えようと思います」

 黄金色の斜陽が彼の横顔を照らしました。彼はほんのすこしだけ笑っているように見えました。

 かつて、この場所はわたしとプラタナスの『二人きり』の場所でした。プラタナスはわたしの言葉に耳を傾け、わたしはプラタナスの語る言葉を聞いていました。わたしにとってプラタナスは心の拠りどころでした。でも、そのプラタナスはもういません。ふさぎ込んでいたわたしを救ってくれたのが彼でした。

 だから、彼から別れを切り出されたとき、わたしの目の前は真っ暗になりました。

「君は、きっと僕に対する好意を勘違いしている」

 彼はそう言いました。彼の指摘は当たっていました。わたしにとって、彼はプラタナスの代わりでしかありませんでした。わたしが彼に対して感じていた好意の正体は、心の中にぽっかりと空いてしまった穴をふさぐために何かに縋ろうする卑しい感情に過ぎないものでした。彼は優しく厳しかったから、そんなわたしを許しませんでした。

「君を本当の意味で満たすことが出来るのはプラタナスの木だけだよ。失ったものを別のもので補ったって意味はない。君は、失ったという過去を乗り越えなくちゃいけないんだ」

 わたしは、もう一度大きく息を吸い込みました。

「あなたと一度別れてから、わたしはずっと考えてた。わたしにとってのあなたは何だろうって。すっごく悩んで苦しかったんだよ。でも、そんなときに相談に乗ってくれるプラタナスはいなかった。それでもね、答えを出すことが出来たんだ」

「聞かせてくれる?」

 心臓の鼓動がどんどん早くなっていくのを感じます。どんなに息を吸っても息苦しいくらいにバクバクと高鳴っています。

「わたしは明確にあなたをプラタナスとは別の存在として定義してる、それが答え。恋人としてあなたが好きです。だから、もう一度わたしと付き合ってください」

 彼がわたしの身体をそっと包み込むように抱きました。

「ずっと待つつもりだった。何年でも、何十年でもね。僕は君を待ち続けるつもりだった」

 わたしは彼の胸の中で泣きました。ずっと貯めこんでいたいろいろな思いがない交ぜになって溢れ出していくようでした。

 ひとしきり泣いて、気づいたときはもう暗くなっていました。彼は『帰ろう』と言って優しくわたしの手を取りました。

 ~~~

綾「プラタナスは喋るのよ」

国木田「なかなかファンタジックな設定だね」

綾「それで、どうだった?終盤の重要なシーンなんだけど……」

国木田「主人公の心の動きがすごくよく伝わってきて、なかなかずしりと来るものがあるね。すごく良いよ」

綾「それなら良かったわ。なにか直した方がいいところはあるかしら?」

国木田「そうだね……。『いい眺めだね』のセリフだけど、『彼』がどの場面で言ったセリフなのかちょっと分かりにくい気がするな。これだと直前にある雷のシーンで言ったように見えちゃうし、少し説明を入れたらどうだろう」

綾「確かにここのセリフはちょっと唐突に見えるかも。直してみるわ」メモメモ

綾「他には?」

国木田「うーん。ここのところとかは、もっと……」

…………
……


綾「ありがとう。すごく参考になったわ」

国木田「まあ僕ごときの意見だからどこまで的を射てるか不安だけど」

綾「構わないわよ。実際その通りだと思うところが多かったし」

国木田「それなら良かった」

綾「あと、このシーンは丘の頂上から町全体が見えて、そこに夕日が差してるっていう情景の美しいシーンなんだけど、それをどうやって描写したらいいと思う?なかなかいい表現が思いつかなくて……」

国木田「うーん。『僕は君を待ち続けるつもりだった』のセリフの後あたりに少し描写を加える感じだとは思うんだけど難しいな」

 夕焼けの空の下、黄金色に染まった町の中心に二つの人影と、折れた大木のシルエットが浮かび上がりました。まるで町全体が二人を祝福しているかのようでした。

国木田「とか?」

綾「情景描写の趣旨としては合ってるんだけど、基本的に地の文はぜんぶ主人公視点で統一してるのよね。そこに第三者からの視点がいきなり入ったらあんまり自然じゃないと思うのよ」

国木田「確かに。主人公が景色を見たのかって観点で考えなきゃいけないのか」

綾「それが難しいわね。主人公は彼に抱かれてるからあんまり景色は見えてないだろうし、かといって景色がきれいだっていう描写は削りたくないわ」

国木田/綾「うーん……」

…………
……


国木田(あれこれ考えて、結論が出た頃にはもう外は暗くなっていた)

綾「こんな時間まで付き合ってくれてありがとう」

国木田「いや。自分もいろいろと勉強になって楽しかった」

綾「おかげで、後は細かいシーンを書き足すのと推敲だけで終わりそう。期限までには余裕だわ」

国木田「きっといい小説になる。早くみんなにも読んでもらいたいよ」

綾「私は正直みんなに見せるのは怖いわ……」

国木田「全然心配することないって」

穂乃花「ねえねえ、どんな小説なの?わたしも早く読みたいな」

綾「それは機関誌が出てからのお楽しみよ」

穂乃花「うん。期待してるね♪」

綾「あんまりハードル上げるのは勘弁して……」

穂乃花「そうそう。夕ご飯もこっちで食べてく?安くするよ」

国木田「こんなに長い間居座っちゃったのに安くしてもらっちゃったら悪いよ」

穂乃花「いいのいいの♪わたしも二人の仲睦まじい様子が見られて楽しかったし」ニコニコ

綾「だから違うわよっ!」

…………
……


国木田「美味しかったよ。ごちそうさま」

綾「ごちそうさまでした」

穂乃花「ありがとうございました。またお越しくださいませ~」ペコリ

カランカラン

 ~~~~~~~~

国木田(それから原稿の締め切りまでの日々はつつがなく過ぎて行った。一方、僕の中では何かが少しずつ変わり始めていて、そのことに僕自身嫌でも気づかざるを得なかった……)
Part09へ続く

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