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歩くんですの箱 SS置き場

躍動感を表現するにはどうすればいいんだろう……と日々考え中。

【けいおんSS】唯「このカメラ使ってもいいかな?」(再稿) Part09

Part09 (Part08の続きです)

街中を煌びやかに照らすイルミネーション。
大都会を慌ただしく行き交う液体金属のような人波も、今日は透明感を増して軽やかになっている。

私は1人、その街並みをファインダー越しに眺めていた。

今日は12月24日、クリスマスイブだ。

唯「じゃあ、私外出てくるね。夕飯前には帰ってくるから」

憂「うん……いってらっしゃい」

憂(お姉ちゃんと二人っきりでイブを過ごせたら良かったのに)

憂(でも、夕ご飯は一緒だし!)

憂(今日の夕ご飯はいつもより頑張っちゃうぞ)

憂(お姉ちゃん喜んでくれるかな。えへへ)


正直なところ、私はあんまりこの日を祝う気にはなれない。
クリスマスなんて、所詮キリスト教のお祭りでしょ、なんて思ってる訳じゃない。
だけど、私はクリスマスについてちょっと嫌な思い出があった。

あれは、私が小学5年生のとき。

 ***

唯「ねぇ、クリスマスのプレゼント、サンタさんに何お願いした?」

モブ1「は?お前まだそんなの信じてたのかよ」

唯「えっ!?」

モブ2「ほんと平沢はお子ちゃまだな~」

モブ3「ほんとありえね~」

和「ちょっと、からかうのやめなよ。大丈夫?唯」

モブ1「チッ、保護者面しよって」

モブ2「もう行こうぜ」

モブ1,3「ああ」

唯「うぅ、和ちゃん……」

和「気にしなくていいよ」

唯「和ちゃん……サンタさんはいるよね?いないなんて嘘だよね……」

和「唯……」

唯「いるもん、サンタさんはいるもん……わあああああああああ」

和「落ち着いて、泣かないで唯……」

 ***

私に、そして多くの子供達に夢を与えてくれる赤い服を着た幻のおじいさん。
でも、その存在はまさに夢でしかなかった。
夢から覚めたとき、現実は変わり果て、色褪せた姿になっていた。
まるで、目の前に入ってくる光を反射してしまうガラスが現れたかのように。

Part10へ続く

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