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歩くんですの箱 SS置き場

躍動感を表現するにはどうすればいいんだろう……と日々考え中。

【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 05

Part 05

 【5】

 リゼさんも前を向いて、シャロさんもショックから立ち直って……これでなにもかも元通りになるのだと思っていました。ですが、わたしは事態を甘く見すぎていたことを思い知らされました。

リゼ「シャロが話してくれないんだ……」

 お皿を洗いながら、リゼさんがそんなことを言い出しました。

リゼ「学校で会って話しかけてもそっけなくされて……ごめんなさい、急いでるんですって言ってすぐにどこかに行ってしまうんだ……」

チノ「そうなんですか?もうとっくに仲直りしたのだとばかり……」

リゼ「私は早くそうなりたいんだけどな……。正直、シャロのことを恋愛対象として見れるかはまだ分からない。でも、私にとってシャロは可愛い後輩で、友達なんだ。それだけは間違いないんだ」

 正直戸惑いました。この前フルール・ド・ラパンに行った時に見たシャロさんと、リゼさんの口から語られるシャロさんのイメージがどうしても重なりませんでした。

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 04

Part 04

 【4】

 わたしたちが駆け寄ってきたのにもリゼさんは気づかない様子でした。普段のリゼさんなら、背後からこんなに大きな足音がすればすぐにでも銃を向けてくるはずなのに。

千夜「リゼちゃん!」

 千夜さんが大きな声で呼びかけて、ようやくリゼさんはこちらを向きました。

リゼ「お前らか……」

 そう言うリゼさんの声はいつになく弱々しいものでした。太陽はいつの間にか沈み、薄暗い闇が辺りを覆い始めていました。

リゼ「見てたのか……?」

 リゼさんの質問に、わたしは無言で頷きました。

リゼ「そうか……そういうことだったんだな……」

 聡明なリゼさんは、わたしたちの姿を見て何かを察したようでした。けれど、わたしたちには一体何のことか分かりません。ただ、リゼさんの言葉の続きを待つしかありませんでした。

 しばらくして、リゼさんはぽつりぽつりと話し始めました。

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 03

Part 03

 【3】

 2月14日。日曜日。
 
 カーテンの隙間から明るい陽射しが差し込んでいました。ひとまず照る照る坊主が功を奏したようです。
 
 下の階に降りるとすでにお父さんは起きていて、朝食の準備と開店に向けた仕込みを始めていました。

タカヒロ「おはよう、チノ」

チノ「おはようございます」

 一方、ココアさんはまだ起きてくる気配がありません。
 
 いつもと変わらない、平凡な日曜日の朝です。

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 02

Part 02

 【2】

 バレンタインの当日はシャロさんのために取っておき、リゼさんの誕生日パーティは翌日、学校が終わった後にラビットハウスで行うことになりました。その旨をリゼさんに伝えるとき、

リゼ「そっか……私の誕生日ってバレンタインデーだもんな。みんな忙しいよな」

と少し寂しそうにしていたので心苦しかったのですが、リゼさんとシャロさんのためだと思い何食わぬ風を装って

チノ「いえ、たまたま皆さんの用事が重なっただけだと思います」

と答えるしかありませんでした。

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 01

このブログにSSを上げるのは随分と久しぶりになってしまいました。もっと定期的に上げていきたいところなのですが、とにかく書くのが遅くて辛いね……。

さて、今回はバレンタインにまつわるお話になります。といっても、本当は去年の梅雨くらいから書き始めていて、まさか完成までこんなに時間が掛かるとは思っていなかったのですが、結果的にはちょうどバレンタインの時期に上げることになったのでそれはそれで良かったのかなぁと(←オイ!)

まあ御託は良いとしましょう。今回の作品は本日より21回に分けて投稿していく予定です(今回を除き毎日正午に自動投稿とするつもりです)。ごちうさのキャラクターの可愛らしいイチャラブを楽しんでいただければと思います。

※本作品には、設定の改変や独自の補足が含まれます。

Part 01

 【プロローグ】

 まるで夢みたいで、宙にでも浮かんでいるようでした。

 わたしは、ココアさんの綺麗な瞳をじっと覗き込みました。その瞳にはわたしの姿が大きく映し出されていました。ココアさんはわたしだけを見てくれています。

チノ「ココアさん……大好きです」

 わたしは、その瞳に吸い寄せられるように顔を近づけました。

チノ「目をつぶってください」

ココア「うん……」

 ココアさんの目が閉じたのを確認して、わたしも目を閉じました。

 わたしは、ゆっくりとココアさんに近づいていきます。

 そして次の瞬間、頭からドスンと硬い衝撃を受けました。目を開けるとココアさんの姿はどこにもなくて、わたしはひとり固い地面に頭をぶつけていました。何が起きたのか分からなくて、わたしはその場で茫然とくず折れるしかありませんでした。

ココア「――チノちゃん、ごめん」

 最後に聞いたココアさんの声は、とても遠くから聞こえてきました。

 * * *

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