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歩くんですの箱 SS置き場

躍動感を表現するにはどうすればいいんだろう……と日々考え中。

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 12

Part 12

 【12】

 その後のことはよく覚えていません。いつの間にかわたしは家に戻っていました。教会での出来事は夢だったんじゃないか、そんな風に思いました。でも、ココアさんがいないという事実が否応なくわたしに現実を突きつけました。

 捜索願は、その日のうちに父が出してくれました。

 ココアさんが最後に発した言葉が頭から離れませんでした。

ココア「――チノちゃん、ごめん」

 ココアさんはいったい何を謝っていたのでしょう。わたしの告白を受け入れなかったことでしょうか。それともわたしの前から姿を消してしまったことでしょうか。いずれにしてもココアさんは、謝罪の言葉だけを残して自分の意志で姿を消したのです。

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 11

Part 01

 【11】

 新学期が始まって最初の日曜日。昨日までの雨が嘘のように晴れ渡った青空の下、わたしとココアさんは駅へと向かう道を並んで歩いていました。

ココア「チノちゃんから2人で出かけようって誘ってくるのはめずらしいね」

 ああ、やっぱり不自然だと思われてしまっていたようです……。わたしは不安になってココアさんに尋ねました。

チノ「ダメだったでしょうか……」

ココア「ううん、嬉しいよ。姉妹水入らずってのもいいよね!」

チノ「ココアさんの妹になった覚えはないですが……」

 でもほっとしました。ココアさんが喜んでくれるなら妹でも良いかな、とすら思ってしまいます。

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 10

Part 10

 【10】

 季節は移り変わり、わたしの中学校生活もあと1年になりました。わたしは、マヤさん、メグさんと桜の花びらが舞う通学路を歩いていました。

マヤ「なんか実感わかないよなー」

 マヤさんがそんなことを言い出しました。今日は始業式。午前遅い時間の道路は人がまばらで、歩いているのはわたしの学校の人たちだけでした。そんな通学路に舞う桜吹雪は、まるでわたしたちの新生活を祝福しているかのようでした。

メグ「中学校最後の一年なんだから自覚をもってしっかりしなさい、なんて言われてもあんまりよくわかんないよね」

マヤ「そうだよなー」

 そんなことを言いながら、マヤさんは植木の葉っぱを1枚ちぎって口にくわえ、ピーと音を鳴らしました。

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 09

Part 09

 【9】

千夜「それでどうなの?キスはもうしたのかしら?」

リゼ「キ、キス!?」

シャロ「キス……しぇんぱいとキスなんて……」

 慌てて手に持ったコーヒーカップを落としそうになるリゼさんと真っ赤になって俯くシャロさん。そんな2人をほほえましく見守るわたし達。ここ最近はずっとそんな構図が続いていました。

 すれ違いが始まったあのバレンタインから1か月。シャロさんは無事わたしたちのところに戻ってきて、こうしてまた当たり前のようにわたしたちと一緒にいることが出来るようになりました。今ではシャロさんとリゼさんはもう恋人同士です。告白はリゼさんの方からしたと聞きました。

 ですが……2人の様子に皆さん少しあきれている様子です。

マヤ「まだしてないのー!?もう1か月も経つのに」

リゼ「そ、それは……」

ココア「手は繋いだんだよね?」

リゼ「とっ、当然だ。馬鹿にしすぎだぞ!」

シャロ「昨日のデートでわたしからお願いして……先輩の手、あったかかったぁ」

千夜「それも昨日が初めてだったの!?」

メグ「これじゃあ、キスまでたどり着くのに何か月かかるか分かんないね……」

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 08

Part 08

 【8】

 パァンッ。乾いた銃声が弾ける。わたしは、誰かの腕の中で縮こまっていた。

 視界がやけに狭い。それはなぜだろうと思ったけど、多分私をかばってくれている誰かの腕の隙間から景色を見ているからだろう。視界が赤く明滅する。サイレンをけたたましく鳴らしながら消防車やパトカーが何台も通過していく。

 ドカーン!

ココア「ひっ!?」

 ひときわ大きな爆発音。それと同時に、視線の先にある建物が真っ赤に燃え上がる。

??「大丈夫、大丈夫だよ」

 震えるわたしをなだめる声。わたしは、抱きとめてくれる腕にギュッとしがみつく。そうしている間にも、目の前にある建物はメラメラと燃え、焼けただれていく。

 その建物が灰になっていくのを見てわたしは嬉しいのだろうか。それとも悲しいのだろうか。それはわたしにも分からない。わたしは、ただただ誰かの腕の中で震えているだけ。

 わたしはその建物を知っている。決して好きな場所ではないけれど。辛い思いも沢山したような気がするけれど。
 
 ――それでも、あれはわたしの家だ。

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