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歩くんですの箱 SS置き場

躍動感を表現するにはどうすればいいんだろう……と日々考え中。

【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 08

Part 08

 【8】

 パァンッ。乾いた銃声が弾ける。わたしは、誰かの腕の中で縮こまっていた。

 視界がやけに狭い。それはなぜだろうと思ったけど、多分私をかばってくれている誰かの腕の隙間から景色を見ているからだろう。視界が赤く明滅する。サイレンをけたたましく鳴らしながら消防車やパトカーが何台も通過していく。

 ドカーン!

ココア「ひっ!?」

 ひときわ大きな爆発音。それと同時に、視線の先にある建物が真っ赤に燃え上がる。

??「大丈夫、大丈夫だよ」

 震えるわたしをなだめる声。わたしは、抱きとめてくれる腕にギュッとしがみつく。そうしている間にも、目の前にある建物はメラメラと燃え、焼けただれていく。

 その建物が灰になっていくのを見てわたしは嬉しいのだろうか。それとも悲しいのだろうか。それはわたしにも分からない。わたしは、ただただ誰かの腕の中で震えているだけ。

 わたしはその建物を知っている。決して好きな場所ではないけれど。辛い思いも沢山したような気がするけれど。
 
 ――それでも、あれはわたしの家だ。

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 07

Part 07

 【7】

 今日の午後3時から市民会館で開かれた決起集会、リゼさんは本当は参加する予定だったんだよね?

 バレンタインデーにシャロさんがリゼさんに告白しようとする直前、リゼさんのカバンに入っていた紙が風で飛ばされる場面があったの覚えてる?シャロさんがリゼさんを突き放すようになったのって、実はその紙が原因だったんだと思う。その紙はNPASS反対の決起集会のチラシだった。違うかな?

 シャロさんはそのとき、決起集会のチラシをどうしてリゼさんが持っているかを聞いた。リゼさんの答えは『親父が主催者なんだ』ってところかな。でもそれだけじゃない。シャロさんは『万能細胞でこどもを作ることについて、リゼ先輩はどう思いますか』って聞いたはず。その質問にリゼさんはどう答えたんだろう?少なくとも、あんまり肯定的な言い方はしていないと思う。リゼさん自身も政府が万能細胞でこどもを作りだすプロジェクトNPASSに反対してるんだってことをシャロさんに伝えたのは間違いないよね?

 でも、そう言われたシャロさんはもうリゼさんには近づけなくなってしまった。

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 06

Part 06

 【6】

 翌日、日曜日の午後1時半過ぎ。リゼさんは、シャロさんに想いを伝えるために出かけていきました。

 約束の時間は午後2時半。場所は、先週シャロさんがリゼさんに告白をしようとしたのと同じ公園のベンチとのことでした。時間と場所はシャロさんから指定されたそうです。リゼさんが呼びかけてもシャロさんが会ってくれなかったら……それだけが不安でしたが、その心配はありませんでした。

ココア「上手く行くかな……?」

 ココアさんの声には不安が混じっていました。

チノ「心配だったら見に行ってみてはどうですか?」

ココア「そうしたいけど……でも、今回はそうしないって決めたから」

 これは、先週の反省もあってみんなで決めたことでした。物陰から覗くというのはやはり趣味のいいことではありませんから。

 ココアさんはしばらく落ち着かない様子で店内を歩き回っていましたが、ふい立ち止まって戸棚からコーヒーカップを取り出しエスプレッソを注ぎ始めました。

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 05

Part 05

 【5】

 リゼさんも前を向いて、シャロさんもショックから立ち直って……これでなにもかも元通りになるのだと思っていました。ですが、わたしは事態を甘く見すぎていたことを思い知らされました。

リゼ「シャロが話してくれないんだ……」

 お皿を洗いながら、リゼさんがそんなことを言い出しました。

リゼ「学校で会って話しかけてもそっけなくされて……ごめんなさい、急いでるんですって言ってすぐにどこかに行ってしまうんだ……」

チノ「そうなんですか?もうとっくに仲直りしたのだとばかり……」

リゼ「私は早くそうなりたいんだけどな……。正直、シャロのことを恋愛対象として見れるかはまだ分からない。でも、私にとってシャロは可愛い後輩で、友達なんだ。それだけは間違いないんだ」

 正直戸惑いました。この前フルール・ド・ラパンに行った時に見たシャロさんと、リゼさんの口から語られるシャロさんのイメージがどうしても重なりませんでした。

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【ごちうさSS】記憶よ、もう一度 - Part 04

Part 04

 【4】

 わたしたちが駆け寄ってきたのにもリゼさんは気づかない様子でした。普段のリゼさんなら、背後からこんなに大きな足音がすればすぐにでも銃を向けてくるはずなのに。

千夜「リゼちゃん!」

 千夜さんが大きな声で呼びかけて、ようやくリゼさんはこちらを向きました。

リゼ「お前らか……」

 そう言うリゼさんの声はいつになく弱々しいものでした。太陽はいつの間にか沈み、薄暗い闇が辺りを覆い始めていました。

リゼ「見てたのか……?」

 リゼさんの質問に、わたしは無言で頷きました。

リゼ「そうか……そういうことだったんだな……」

 聡明なリゼさんは、わたしたちの姿を見て何かを察したようでした。けれど、わたしたちには一体何のことか分かりません。ただ、リゼさんの言葉の続きを待つしかありませんでした。

 しばらくして、リゼさんはぽつりぽつりと話し始めました。

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